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2007年10月 8日 (月)

おしゃぶりなら大丈夫なの?1

昨日からの続きではありませんが、今回は「おしゃぶり」に関してです。

今回から数回分のテキストは、「すこやかな口 元気なこども(医歯薬出版)」からです。

赤ちゃんの吸綴機能

赤ちゃんが自分の意志で哺乳量を調節する“自律哺乳”が出来るようになるのは、生後3ヶ月以降です。その後は栄養摂取目的の哺乳だけではなく、主に不安解消が目的の吸綴が増えてきます。前者はストロー飲みなどの成人様の吸綴運動として発達していき、後者は遊び飲みや乳首以外の指やタオルをしゃぶる習慣として定着していきます。

栄養摂取が目的でない吸綴には鎮静(痛)効果があり、授乳を介した基本的信頼感(アタッチメント)の形成を強化すると同時に、むずがる赤ちゃんの機嫌を落ち着かせるための手段として、夜間授乳のおしゃぶり使用の動機にもなっています。

赤ちゃんが指しゃぶりするわけ

しかし、多くの赤ちゃんにとって、これが初めての指しゃぶり体験ではありません。超音波検査装置で確認すると、胎生15~20週ごろから、胎生の赤ちゃんが指をしゃぶる様子が頻繁に観察されます。

羊水に浮かんだ胎児にとって、母体内は温かく安全で、また重力の影響が少ない、自由に体を動かす事の出来る空間です。安易に指を吸うことが出来き、手指と口の感覚を発達させることが出来ます。

もともと口には「ものを探る」働きがあり、出生後も手足を吸ったり、なめたりして自分の身体を認知していきます。新生児期には、重力によって身体の動きは制限されるので、指しゃぶりはお休みしています。しかし、首がすわるなど次第に重力に拮抗して身体をコントロールすることが出来るようになると、自然に口もとに届いた指を反射的にくわえるようになり、鎮静効果をもった非栄養的吸綴運動として定着していきます。もちろん、指しゃぶりをしない赤ちゃんもいます。

3歳までは吸うのが当たり前

新生児の口は、食べ物としては乳首からの乳汁だけを受け入れるようになっています。咬んだり、つぶすことはまだ出来ないので、危険な固形物や身体に害があるのかもしれないすっぱい味(酸味)・苦い味(苦味)は受け付けません。

これは生まれながらにもつ、自ら身体を守るための反射的なしくみの一つなのですが、このままでは固形物の摂食、つまり離乳は始められません。原始反射の減退・消失が離乳には欠かせないのです。また、こうした口の脱感作や、指しゃぶりやおもちゃなめから生まれる感覚刺激によって拡大していくと考えられています。

このように、赤ちゃんの吸綴行動は、哺乳から離乳に至るまでの口の動きだけでなく、こころと行動の発達に深く関係しています。

吸っているのは、母親の乳首や自分の指であったり、身近なタオルやおしゃぶりといった人工物であったりと多岐に渡るのですが、こうした背景から、人やチンパンジーなどの高等霊長類の吸綴行動は3~5歳までは当たり前の行動と考えられています。しかし、対象が異なれば、様々な吸う行動の頻度は互いに拮抗します。

たとえば、社会学的調査からは、ヒト社会でも3歳以降まで母乳育児を続けている集団では、指しゃぶりはほとんどみられないことが報告されています。母乳で育つ赤ちゃんにとっては、お母さんの乳首がもっとも魅力的なのは当然でしょう。

参考文献 お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども 佐々木洋著 医歯薬出版

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