子供の体力 下げ止まり?
本日は、日本経済新聞 10月8日分の社会面に掲載された記事からです。
☆子供の体力下げ止まり?
短距離走のスピードや筋力など子供の運動能力の低下に歯止めがかかってきたことが、文部科学省が2006年に行った体力・運動能力調査で分かりました。中学生男子の50メートル走や握力の成績がここ数年、横ばいか上昇傾向で推移しており、文部省は「下げ止まったといえるか検証を続けたい」と話しています。
調査は昨年5~10月、6歳から79歳までの男女約7万4千人を対象に実施しました。約7万1千人の調査票を回収しました。
13歳の男子で見ると、50メートル走の平均記録は前年と同記録。3年連続改善か横ばいを続けており、握力は2年連続上昇しました。
ハンドボール投げは前年より低下したものの10年前と同水準で、テスト結果が大きく落ち込んだ1980年代後半~90年代半ばに比べ全体の低下傾向は緩やかになっています。
50メートル走は小学生で男女とも多くの年代でここ5年ほど改善か下げ止まりの傾向が見て取れます。
立ち幅跳びは10年前の水準より低いものの、7歳で前半よりやや改善。ソフトボール投げは7歳男子で3年連続記録が伸びているものの、11歳男子は4年連続下落し、低学年と高学年では、ばらつきがあります。
一方、中学校で実施する持久走は男女とも2年連続で記録が悪化し、持久力の低下には歯止めがかかっていないのです。
体力調査について、文部省は「子供によって運動能力の二極化が進んでいる」と分析。調査を担当した順天堂大学の内藤久士準教授は「運動不足に端を発した能力低下が行き着くところまでいって、急激に回復しているとはいえない」と見ています。
☆睡眠短い子ほど運動能力低い
文部省は体力・運動能力調査で生活習慣病と運動能力の関係も調査しました。握力や立ち幅跳びなどで運動能力を測る体力テストを得点化して比較したところ、睡眠時間が短い子供ほど運動能力が低い傾向にあることがわかりました。
6~15歳で「睡眠時間が6時間未満の子供」を比べると、男子は6歳を除くすべての年齢、女子は8歳を除く全年齢で平均の合計点数が低かったのです。筋力の指標となる「握力」では目立った差は出ませんでしたが、全身持久力の指標となる「20メートルシャトルラン」や「持久走」で差が大きいのです。
同様に1日のテレビの視聴時間が長い子供の成績がより短い子供を下回り、朝食を「時々もしくは毎日食べない」層の成績が「毎日食べる」層を下回る傾向がありました。
20歳以上でみると、20代の男性と45歳以上の男女で合計点が8年前の調査を上回りました。週1日以上運動する割合が男性はほとんどの年代で、女性も40代以上で8年前より多くなっており、成年層は健康ブームを背景に運動能力が高まっている様です。
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