歯は老化ではなくならない
今日は、山形の酒田でご開業されている熊谷先生の著書からご紹介いたします。
人が歯を失う理由
多くのお年寄りが入れ歯になっているので、年を取ると歯が無くなるのが当たり前と勘違いしている人が多いかもしれません。でも、歯を失う理由は老化ではありません。かかりつけ歯科医院で適切なケアを受けていれば、年を取って入れ歯になる事はありません。歯が無くなる理由は他にあるのです。
日本人の虫歯の状態と変化
過去の虫歯の経験はDMFTという指数で表します。
- D(虫歯の穴のある歯の数)
- M(失った歯の数)
- F(詰められた歯の数)
上記の物を合計した物がDMFTです。
ちょうど、20歳の日本人は、DMFTが9.2。虫歯の経験が一人平均9.2本あるということになります。
虫歯のリスクコントロールが進んでいるスウェーデンと比べてみましょう。30年くらい前はたいして違いが無かったのですが、スウェーデンの指数は毎年のように下がって、1999年には4本以下。ずいぶん大きな差になってしまいました。
1本も虫歯がない人は、日本人では25人に1人、スウェーデンでは5人に1人です。
実は北欧では1950年代から、虫歯の原因から治療に至る学問(カリオロジー)が発展しました。そして、虫歯になってしまった歯を削って詰める治療よりも、病気の原因を理解した上で治療することに重点が移ったのです。
虫歯の経験は、年を取るとどうなる?
20歳で平均9.2本の日本人の虫歯経験が、その後、年を取るとどうなっていくか、平均値から仮に推測してみましょう。
40歳ぐらいからF(詰められた歯)が減り始め、M(失った歯の数)が増え始めます。
(F)と(M)の合計は年を取るにつれて増加し、70歳になる前に半分以上の歯を失って(大きな入れ歯になって)残りの歯も全部金属で覆われてしまいます。
人が歯を失う理由は、調査によると、虫歯55.0%、歯周病38.4%、その他破折や事故による外傷6.6%です。
多くの歯が、虫歯のために削って詰められ、それがまた虫歯になったり、根の先に炎症が出来てしまうために、年を取るにつれて抜歯になっているのです。
参考文献「歯科」本音の治療がわかる本 熊谷崇 秋本秀俊 著 法研
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