歯の形
昔から、歯は顔全体に与える影響が大きく、矯正を行うと顔の表情に影響を与える事も多いのです。
特に、中切歯という一番前に生えている歯に関しては、顔の真ん中を通る線(中心線)を挟んで左右に「門」のように2つあるので、俗に「門歯(もんし)」と呼ばれています。
この門歯が抜けていたり、欠けていたり、曲がっていたり、出っ張っていたりすると、顔全体から受ける印象が大きく変わって来てしまいます。
非常に綺麗な顔をしている人でも、前歯(門歯)に海苔が付いていたりすると、間抜けな顔になってしまいます。
役者さんはこの事を利用して、歯に色を塗ったり、ドラキュラの様に歯を尖らせて見たりしています(笑)。
極端な話ですが、文化が違うと歯に対する受け止め方も随分違って来てしまいます。
外国の航空会社では、歯並びが悪く、歯が綺麗で無いことは乗客に不快な印象を与えるということで、客室乗務員には採用しない所が多いそうです。
この様に、顔貌(がんぼう)に一番影響でてくるのはやはり前歯だと言うことがいえます。
この前歯、よく観察すると人によって皆違うことが分かります。
大きいのか、小さいのか、丸いのか、四角いのか、角張っているのか、前に出ているのかなどさまざまです。
その人にあった理想的な歯の形というのはあるのでしょうか?
我々歯科医師は、どの様な基準で患者さんの歯の形を決めているのでしょうか?
それは、実は顔の輪郭で決めているのです。
顔の輪郭を方形(四角)、尖形(三角)、卵円形(円形)の3つに分類し、門歯(前歯)との関係を見てみると、顔の輪郭と門歯(前歯)の形は似通っているのです。
一般に四角い顔の人には角張った方形の歯、顎先がとがっていて三角形の細長い人には三角に近い形の歯、そして日本人に最も多い卵形の丸みをおびた顔には円形の歯が調和すると言われています。
形から受ける印象とそれに伴う心理的効果は、四角形からは安心感・落ち着き・賢く堂々とした感じを受け、三角形からは不安定・攻撃的・荒々しさ・危険性(ドラキュラの様に)を感じ、卵円形からは優しさ・柔和さ・上品さ・かわいらしさの印象を受けます。
この特性をいかして歯を作っていくことも可能なのです。
名前は明かせませんが、役によって多くの入れ歯を使いこなす役者さんを知っています。その方は、役柄になりきるための努力を陰でしているのです。
確かに、彼は非常に評価されています。
今日はそんなお話でした。
参考文献 歯から始まるアンチエイジング 佐藤孝著 日刊工業新聞社
門歯と顔の輪郭、自分はどれか、
神がくれた、顔と歯、工夫しながら
付き合っていこうかな。