噛む健康学3
噛まない・噛めない現代人
斉藤 滋先生の著書の中から、今回も興味深いデータを。
最近は、ファーストフードやスナック菓子で育った人々が多いため、やわらかくて美味しくなければ食べない、食べられないという声が増えています。
では、本当に昔と比べて、食事がやわらかくなっているのか調べた表が本に載っています。
弥生時代(卑弥呼)
ハマグリの潮汁、アユの塩焼き、長いもの煮物、カワハギの干物、ノビル、クルミ、モチ玄米のおこわ 等
平安時代(紫式部)
ブリとアワビの煮物、カブ汁、大根のもろみ漬、ご飯
鎌倉時代(源頼朝)
イワシの丸干し、梅干し、里芋とワカメのみそ汁、玄米のおこわ
江戸時代初期(徳川家康)
かまぼこ、白身魚の吸い物、カレイの煮物、カブとウリの漬け物、豆腐のみそ汁、ご飯
戦前(昭和10年代の家庭食)
大豆のみそ炒め、たくあん、野菜のみそ汁、にんじんと大根などの煮物、麦飯
現代
コーンスープ、ハンバーグ、スパゲッティ、ポテトサラダ、プリン、パン
斉藤先生は、上記の表を参考に、興味深い実験をしています。これらの食事を実際に再現し、20歳代の学生達に食べてもらい、それぞれの噛む回数、食事時間を測定しました。
以下にその実験結果です。
弥生時代(卑弥呼の時代) 3990回、51分(1302キロカロリー)
平安時代(紫式部の時代) 1366回、31分(1019キロカロリー)
鎌倉時代(源頼朝の時代) 2654回、29分(1131キロカロリー)
江戸時代初期(徳川家康の時代) 1465回、22分(1450キロカロリー)
江戸時代後期(徳川家定の時代) 1012回、15分(985キロカロリー)
昭和10年代(戦前の家庭食) 1420回、22分(840キロカロリー)
現代 620回、11分(2025キロカロリー)
上記の表を参考に考察してみると、弥生時代(2~3世紀頃)の主食は「もち玄米のおこわ」を食べていたようです。
このおこわは、蒸したて後数分のうちに鉛玉の様に硬くなり、箸でもつかみにくく、良く噛まないと口の中でどろどろの粥状態には出来ないようです。
現代の食事と噛んだ回数を比較すれば、実に6倍以上に達し、食事時間も5分の1という結果が出ました。
斉藤先生は言います。
戦前の家庭食と比較しても、歴史的にはわずか数十年という驚くほど短期間で、現代人の噛む回数と食事時間が、ともに2分の1以下に激減したという事実は、本当に驚くべき事です。
食事と人間の成長は深い関係があるようで、歴史上の大名達はあまり現代人と体格が変わらなかったという事実があります。昔の人も良い食事を食べられた人達は現代人と同じく虫歯で悩んでいたという事実があります。
今後も食事と健康に関するデータを紹介していきたいと思います。
ちなみに私の1咀嚼平均噛み回数は7.5回でした。歯医者として全く恥ずかしい限り。追加で調べて見たところ、現代の食事で30回噛むと言うのはなかなか難しいと言うのも分かりました。食べ物がやわらかすぎて、30回噛む前に粥状になってしまうのです。そのため、30回噛めとよくいいますが、これはすこし難しいため、粥状になるまで噛むと変えた方が良いかもしれません。
噛みます、
comeさま
良く噛んでくださいね。(笑顔)