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2006年2月12日 (日)

歯科の歴史7

毎日、入れ歯を作製したり、調整したり、修理したりという毎日を何気なく送っていますが、こうした「何気なく」というのは、義歯の材料が格段に進歩しているおかげで可能だと言うことに気が付きました。

例えば、レジンと言われるプラスチックの原材料も、手軽に扱えるし、歯だって、「人工歯」といって、様々な形、サイズ、色がそろっており、その場で、欠けた歯をおぎなえる事が可能です。

そこで、今日は入れ歯の材料はどのような変化をみせてきたのかを調べてみたいと思います。

・動物や人間の歯を使った初期の義歯Top

原始的義歯に関するものはエジプト人、エトルリア人、ローマ人によって開発されました。その多くが文献に示されていますが、早期の義歯はアブルカシス、アンブロ・パレーによって技術開発が進められ、さらに、ピエール・フォシャールによって局部義歯、総義歯など一部有床義歯(一般的に入れ歯に事を有床義歯とよびます)、また継続歯などの基本的な技術が示されてきました。

1746年にはモートンが金冠について、ポールデが金の金属床(金属の入れ歯)について発表しています。

なんと、この時代、義歯の材料として、動物の骨、象牙、カバの牙、セイウチの牙、さらに人間の死体の歯や自分の抜けた歯などが用いられていました。

これらを義歯床として用いた場合、有機物質なので口腔内で虫歯になったり、化学変化を起こして不快な口臭を発するようになりました。

特にカバの牙が義歯床材料としてもっとも適したものとして多く使用され続けられたため、1861年の概算では年間少なくとも1100頭のカバが殺されたと言います。

また、人間の審美的自然歯を得るために戦場から戦死した人の歯を拾い集めたと言う悲劇的な話もありました。

・陶製義歯のはじまり

1700年後半、ドシャトーが自分の入れている骨製の義歯が次第に腐食して悪臭を放つのに腹を立て、1774年パリの陶工ゲエルハルトに陶製の有床義歯を作らせた。これが陶製の義歯の初めです。

そして、陶製の人工義歯が工業的に生産されだしたのは19世紀初頭のことである。

フィラデルフィアの宝石細工師ストックトンが1825年に初めて陶製人工歯を大量生産しました。その量は年間50万個であったという。ストックトンの甥であるホワイトは、1843年に歯科医を開業し、1844年以後、独自に改良した陶製人工歯を製造し始めた。彼かそ、アメリカで歯科材料界のトップに立ったS.S>White社の創始者であります。

我が国で、最初に陶歯を製造したのは、法印渡邊良斎です。彼は木床義歯調整の名人と言われましたが、高山紀斎(現東京歯科大学の前身高山歯科医学院の創設者)が西洋式義歯を勧めたが、外国人の作ったものは使いたくないと自ら人工歯(陶歯)の製造を思いたちました。その後、特許を得ています。

・金属の床への導入

一方、動物の骨や牙を彫刻した義歯は、口腔内で悪臭を放ち、耐えられるものではなかったようで、床の材料に金属(金板、白金板)を使うことが考え出されました。

・金属有床義歯を入れていたジョージ・ワシントン

アメリカで最初に金属有床義歯を作ったのは、グリーンウッドであるとされています。彼は、1789年からジョージ・ワシントン(アメリカ大統領)の家庭医を勤めましたが、1798年、ワシントンのために、金属有床義歯を作っています。

ワシントンは、大統領就任時(1789年)には下顎左側小臼歯1本が残存するだけであったと言われています。

このときの義歯は、ニューヨークのグリーンウッドが調整したといいます。床は象牙、人工歯は自分の抜歯歯牙を用いました。

参考文献 クイッテセンス 歯科の歴史おもしろ読本 長谷川正康著

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歴史をひもとくと、現代の我々は、過去の犠牲の上にあり、今の私達は幸せです。これからも又変化するのでしょうか、この辺で良いのではと思ったりもします。


夢さま
コメントありがとうございます。
これからもどんどん変化していきますよ。しかも、人間に優しい材料になっていくと思います。期待したいです。

by しろくま | 2006/02/12 13:07:59

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