この季節の歯科治療の考え方
以前にこの話題をブログに載せて、結構な数のご批判を頂いてしまったのですが(苦笑)、自分の考えにブレは無いのでもう一度書こうかなって思います。
医科と歯科の一番の違いはその治療目的の性質にあります。
医科の場合は最悪「死」を意識する場合がありますが、歯科ではあまり「死」を意識する事は少ないです(口腔癌や舌がん等の危険の高い疾患はありますがまれです)。
では、歯科では何が低下するといえば、「生活の質の低下」が見られます。
例えば整形外科で外傷性の複雑骨折の手術をした場合、かなりの割合で神経の麻痺の症状が見受けられます(間違っていたらすいません)。しかし、その麻痺を非難する患者さんは少ないと思います。もしかしたら足を切断するかもしれなかったのに、麻痺だけで済んだとなると聞いた事があります。
しかし、歯科で麻痺等が起きたら大問題です。なぜなら口腔とは感覚器官だからです。しゃべるときに唇の感覚が無いと発音に問題が出るし、舌の動きが悪くなれば咀嚼が出来ませんし、何より精神的に落ち込んでしまうでしょう。
そういった事から歯科では患者さんの生活の質を重んじて診療をしていかないといけないのです。
例えば、治療をしないといけない「歯」があるとします。
季節が4月や6月なら躊躇無く治療の選択をします。
しかし、これが11月や12月の師走ではどうでしょうか?
もちろん、歯が痛い場合や、治療しないと大変な事になる場合は治療を選択しますが、あえて治療を先延ばしにするという事もあり得ます(これは当院での話です)。
お正月の家族団らんの際に美味しく食事がしたい時に、治療中の歯があればかなり辛いかもしれません。
痛みが無くて、今のところは普通の生活出来るという患者さん限定になりますが、そういう場合は年越し後に、生活が落ち着いて治療が出来る時期が来てからでも遅くないと思います。
何度も言いますが、これは歯の治療を医療機関に薦められたけど、患者さんの感覚に「痛みや違和感」が無い場合は先伸ばしにしたり、「治療をするか再相談」も視野にいれても良いかも知れないということです。
まあ、賛否両論ありますが、当院ではあまり無理はしないでねってスタンスです。
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