知覚過敏。
もっとも厄介な治療の一つが「知覚過敏処置」だと思っています。
知覚過敏が起きるメカニズムは、歯表面の象牙細管といわれる神経に通じている小孔が露出してしまう事により起きる症状です。
その神経に通じる小孔に冷たい液体や空気が入り込むと、「冷たいものがしみる」という現象が起きます。
治療が厄介といいましたが、治療が難しいという訳ではありません。
その生じた小孔を埋めてしまえば良いのです。その埋める材料は、知覚過敏用の薬剤を染みこませても良いし、CRといわれるプラスチックで塞いでしまっても構いません。また究極的な治療として、しみるという知覚を発している神経を殺してしまう(神経を取る処置)を行う事でも解決します。
しかし、上記の処置は、色々と問題があります。
それは、象牙細管という小孔が露出してしまった原因を解明せずに処置(小孔を埋めても)をしても、直ぐに取れてしまうことです。
冷静に考えてもらえば分かるのですが、自分の硬組織でも剥がれてしまう様な原因が存在する口腔内で、材料の素材が持つわけ無いのです(いくら強力な材料であっても)。
象牙質は、エナメル質と歯肉によって覆われています。すなわち、エナメル質の欠けや脱落、歯肉の退縮が原因で、象牙細管が露出しています。だからエナメル質の欠けや脱落の原因(多くは巨大な力が歯にかかっている事が原因)と、歯肉退縮の原因(歯周病や力がかかっている)を解明して、露出した原因を除去してからでないと、本当の治療にはならないのです。
神経を取ってしまうという治療もあると説明しましたが、もともと知覚過敏は起こるほどの問題を抱えている歯の神経を取ってしまって、耐久力を奪ってしまうと、一時的には良いと思いますが、歯の寿命は恐ろしく短縮されます。
こういった治療は、地道に歯周病の治療と咬合力(噛む力)のコントロールと地道にやっていくしか無いのです。
しかし、この治療は患者さんに受け入れて貰える事が少なく(そりゃ、結果に即効性が無いので・・・)、大変苦労します。。
直ぐに神経をとって、被せものをすれば解決してしまうという選択をすれば良いと思われがちですが、それを繰り返すと、10年後には悲惨が口腔内となってしまうでしょう。
出来るだけ、削らず、原因の解明と対処を地道にやるしか無いのです。
理解を得られない治療なのですが、患者さんのためです(歯の寿命と口腔の健康を考えると)。
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