新しいインプラント技術にふれて。
5月の最終土曜日。診療終了後、いわきへ勉強に行ってきました。 今回の勉強会はいわきの渡辺先生の提案で韓国のインプラントメーカーである「osstem implant」のサイナスリスト専用キットである「cas kit」の実習を行ってきました。 実は、このosstem implantというシステムは全く知らないメーカーでした。 現在使用しているノーベルバイオケアに惚れ込んでしまっている関係上(ほぼ恋愛関係)、全く興味がなかったのです。
今回の我々にプレゼンしてくれたosstem implant仙台支店長である廬(ロ・ジェフン)さんは、メッチャ腰が低くて、とても穏やか。
現在の日韓関係のように冷え込んだ研修会になったら嫌だなとおもっていたのですが、それは全くの杞憂でした。マスコミの影響か、韓国人に対して穿った見方をしている自分が嫌になりました。
で、このosstem implantのサイナスリフト専用キットである「CAS KIT」ですが、正直私の中では未知数の手術キットでした。
サイナスリフトという手術は、上顎の大臼歯付近には上顎洞という大きな空洞があり、その空洞のせいでインプラントを埋入(骨に入れる)するだけの骨の厚みが確保出来ない場合が往々にしてあるのです。
その際、上顎洞の横から骨に穴を開け、上顎洞内の粘膜(シュナイダー膜・多列線毛上皮)を破らないように丁寧に剥離し、その間に補填材を入れ空間を確保し、その空間にインプラントをそっと埋入し、体の治癒能力を用いてオッセオインテグレーション(インプラントを骨と正着させること)させるテクニックです。非常に高度な技です。
私はこのサイナスリフトを行う場合は、通常の術式を用いて行うことが多いのですが、このCAS kitはその術式を非常に安全に、しかも簡便化して行えるのが売りなのですが、どうにも私は信じることが未だに出来ません。
確かにこのCAS kitは安全で確実なプロトコールを持っているのですが、外科術式の未熟なDRが扱うと非常に危険であることは間違いないと思います。
私は外科が好きで多くの手術をこなしてきましたが、このキットを用いて手術する場合は、たぶん何度も何度も模型を使って練習すると思います。また適応範囲が非常にシビアなので、このキットを持っていれば何にでも応用できそうだなと考えるのも非常に危険だなとは思います。
ただ、十分練習や研修を多くこなしたDRには非常に有効なアイテムではないかと感じます。
今後、このキットを導入するかしないかは、今後の市場の動向を確認してから決めたいと思います。
すごかったのは、今回この企画をしたいわきの渡辺先生がメーカーの廬さんに逆に教えているシーンがあったのですが、微笑ましくもあり逞しくもあり、ほんと我らがリーダー健在って感じでした。
研修後の懇親会はいわきのおいしい魚介を堪能して郡山へ帰宅いたしました。
来週もいわきで研修があります。今度は従業員も連れて行くのでまた楽しみです。
その時のこともまたリポートしたいと思います。
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