カミング30
本日は福島民報平成21年9月27日の『健康』の記事よりお届けいたします。
◇一口30回以上噛んで健康維持
厚生労働省の「歯科保健と食育の在り方に関する検討会」は、食事の際に一口三十回以上噛むことを目標とする「カミング30(サンマル)」という標語を掲げて、食べ方を通じた健康作りを促進するべきだとの報告書をまとめた。
小児期や成人期、高齢期と通して健康を維持するためには、よく噛んで食べることが重要だと訴えるのが目的。
一九八九年に提唱された、八十歳になっても自分の歯を二十本以上保つことを目指す「8020運動」をさらに推進する狙いもある。
検討会の座長を務めた昭和大学歯学部の向井美恵教授=口腔(こうくう)衛生学=によると、乳幼児がさまざまな食品を食べる際、二十~三十回噛むと安全に飲み込めることを示す研究データがあるほか、生え替わり時によく噛むと歯の発達が促されることが知られているという。
成人期では、よく噛むことで早食いや食べ過ぎを防ぎ、食欲を抑制するホルモンが分泌され、薄味や少量でも満足感が得られることで、肥満の予防につながる。
高齢期では、ものを噛む機能を維持し、もちなどを詰まらせる事故を防ぐ。
また、よく噛むと食材が細かく粉砕されて唾液(だえき)とよく混ざり、おいしさが引き出せるという。向井教授は「三十回噛めば、食事も味わえて安全性も確保できる」と利点を強調する。
ただ、食事中、一口ごとに噛む回数を数えるのは現実的ではないのも事実。向井教授は「飲み込む前に五回多く噛む。あるいは一口分だけ数えてみる。噛む回数を意識する機会をもって、よく噛む習慣を身につけてもらいたい」と話している。
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