たばこについてのQ&A 2
昨日の続きです。本日も渡辺勝先生、長山和枝先生の『チェアーサイドの禁煙支援ガイドブック』よりお届けいたします。
Q:たばこが唯一の楽しみ?
たばこだけが楽しみと思っている喫煙者、そして喫煙者からたばこを取り上げると可哀想と思われている非喫煙者がいらっしゃいます。
しかし、喫煙者の話をよく聞いてみると間違いなくたばこに縛られた生活を送っています。常にたばこの吸える場所、吸える時間を探して毎日を過ごしているのです。
恋人との談笑中、食事中、仕事の合間。
非喫煙者が「楽しい」「おいしい」と思えるような行動も純粋に楽しむことが出来ないのです。たばこをやめると、本当に些細なことでも楽しむことができます。
Q:換気扇や空気清浄機の近くで吸っているので、周囲に害を及ぼしていない?
A:家庭用の空気清浄機で浄化できるのはたばこ煙の粒子成分(約4%)だけです。残りのガス相成分は目に見えませんし、浄化もできず、そのまま拡散させる機能しかもっていません。たばこを1本吸うと4畳半の部屋で8部屋相当分の空気を汚すと言われています。
この空気をその場の空気を攪拌しているだけの換気扇で浄化するのは不可能です。ちなみに尿中コチニンを指標としたニコチン暴露量は、非喫煙者の家族を1とした場合、換気扇の下で吸っていても約3倍、屋外で吸っていても約2倍という数値が出ています。
Q:たばこを吸うことでダイエットになる?
A:たしかにたばこを吸っているとタールが舌や鼻粘膜にこびりついているために食べ物の味がおいしく感じにくくなり、食欲が落ちます。何よりも毒を定期的に摂取しているのでやつれています。しかし、実際にはニコチンの作用で内臓脂肪はたまりやすいですし、厚生労働省の調査でも、喫煙者の方が非喫煙者よりも肥満者は多いのです。
Q:少しぐらいならたばこを吸うのはストレスの解消になる
A:たばこによって解消されるストレスはニコチン切れのストレスだけです。それ以外のストレスは喫煙行為で解消出来ません。ただ、たばこを吸い終わってから30分もするとニコチン切れのイライラ感が出てくるのでたばこを吸うと解消され、それによってストレス解消に役立っていると脳が勘違いしているだけです。
Q:たばこを吸っているからといってがんで死ぬわけではない
A:喫煙者はその50%がたばこ関連の疾患で亡くなるといわれています。つまり、リスクがあがるだけで、必ずしもがんになるわけはありません。例えていうと、高速道路では目をつぶって歩いてもなからず車に轢かれるとは限りませんよね。でもあえて歩こうと思う方はいないでしょう。たばこも同じです。
Q:喫煙者は税金をたくさん払っている?
A:たしかにたばこの価格の約半分は税金です。しかし、喫煙行為により生じる医療費の損失、健康被害による労働力の低下・喪失からくる所得税額の減少などもありますので、必ずしも高額納税で社会貢献しているわけではありません。双方を差し引くと年間約5兆5千億円の損失となっているとの試算も出ています。
Q:太く短くいきるので関係ない?
A:喫煙することで平均寿命は約6年短くなるといわれています。そして寝たきりの期間は5年長くなるといわれています。これは非喫煙者よりも寝たきりの期間が倍になり、健康寿命が11年短くなっているのです。
★禁煙のメリット
禁煙しても、すぐには禁煙の効果が実感できるわけではありません。そのため、こちらからある程度誘導し、禁煙のメリットに気がついてもらったりしています。
喫煙中は、タールが舌にこびりついて、常に低温火傷の状態のため、味覚が正常でいられるわけではありません。さらに、鼻の中もタールで覆われているので嗅覚も落ちています。
ただし、徐々に変化してきたものですから、喫煙者は変化に気がついていません。やめたときもそれは同じ。しかし、適切なタイミングで効果を自覚してもらうと禁煙が長続きします。
禁煙後4日後くらいでは、「そろそろ禁断症状が出てきましたよね?」「イライラ感が減ってきたりしていませんか?」「食事がおいしく感じたり、水の味を感じてきませんか?」など。
禁煙後1週間では、「眠りが深くなってきていませんか?」禁煙後1ヶ月後では、「階段の昇り降りが楽になりませんか?」など。
逆に自分で自覚しやすいのが、「喫煙場所を探さなくてすむようになった」「化粧ののりがよくなった」など。
参考文献 チェアーサイドの禁煙支援ガイドブック 渡辺勝・長山和枝著 デンタルダイヤモンド社
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