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2009年1月13日 (火)

レトロアロマ効果の機序解明

本日は、デンタルトリビューン2009年1月号よりお届けいたします。

◇レトロアロマ効果の機序解明~口腔内バクテリアが生むワインの芳香~

(スイス)ある種のワインや果物、野菜などに感じられる強い香りは、口腔内バクテリアの働きによって発生するといいます。香料メーカーであるフィルメニッヒ社の開発担当者Cristian Starkenmann氏らがJournal of Agricultural and food Chemistryに発表しました。

★香りの鍵を握るチオール

現代ワインの醸造法の父として知られるEmile Peynaud氏は、「白ワイン用のブドウ品種ソービニヨン・ブランは、一口含んだ直後にはかすかな味がするだけだが、20~30秒後に突然、独特の強力な香りが口中に広がる」と表現しています。

我々が香りを感じるのは揮発性の物質が鼻腔内にある嗅覚細胞に触発することによります。

Starkenmann氏らは、後から香りが口中に広がる“レトロアロマ効果”にメカニズムについて検討を行いました。先行研究では、レトロアロマ効果を示す食品にはS-システイン抱合体と呼ばれる無臭の硫黄化合物が含まれ、そこから派生するチオールと呼ばれる揮発性硫黄化合物がこれらの食品の香りを担っていることが報告されました。

無臭の前駆物質が香りある派生物にいかに変化するのか。同実験では訓練を受けた30人の被験者を対象とし、香りの物質については、ブドウ、タマネギ、パプリカに含まれる揮発性チオールと、それらの前駆物質であるS-システイン抱合体の計6種類をもちいて試験をおこないました。

★バクテリオールがチオール発生に関与

Starkenmann氏は、被験者にそれぞれのサンプルを試食させて5秒後にはき出してもらい、知覚したことについて報告するように指示しました。その結果、揮発性チオールを口にした際には即座に香りを認識しましたが、S-システイン抱合体については香りを認識するまでに約10秒かかりました。

また、最も強く香りを知覚するまでにかかって時間は、揮発性チオールでは10~30秒でしたが、S-システイン抱合体では30~40秒でした。さらに香りの持続時間を調べたところ、揮発性チオールは1~2分であったのに対して、S-システイン抱合体では2~3分後まで持続することが確認されました。

そこで、唾液中のいかなる成分がS-システイン抱合体から揮発性チオールは発生させるかを検討するため、通常のバクテリアを含む唾液と殺菌処理をした唾液の2種類の培養液を用いてS-システイン抱合体を保存しました。通常の唾液中では24時間でS-システイン抱合体の80%が分解されましたが、殺菌処理した唾液中では4日を経過しても割合は15%以下でした。

この結果から、同氏らは「レトロアロマ効果を示す食物や飲料に含まれるS-システイン抱合体から発生する揮発性チオールは、口腔内バクテリアの働きによることが示唆された」と指摘しました。さらに「チオールにおいて香りの持続時間が短いのは、唾液に急速に吸収されるため」と述べ、「本知見は、複雑な香りが長く持続する食品の開発に役立つだろう」と見通しを示しました。

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