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しろくま先生のブログ
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2008年11月 4日 (火)

歯科医療はなぜ誤解されやすいのか?

本日は、徳島大学歯学部創立30周年記念出版 「なるほど現代歯塾~健康で快適な生活のために~」よりお届けいたします。

◇歯科医療はなぜ誤解されやすいのか~一生懸命やっているつもりですが~

当事者だからなのでしょうか?歯科医療に対しては、多くの方が疑問や不満をもっておられるように思うのです。

歯科医師に寄せられるクレームには、スタッフによる配慮の足りない一言、治療の内容について、治した歯の色や形への不満、時間や回数がかかりすぎる、何度治しても再発する、自費診療の金額等々種々さまざまで、心して改めるべき点もありますが、中には歯科医療の性格上ある程度しかたがないことや、患者さんの理解不足や勘違いによるものも少なくないのです。

これからお話しするのは、週刊誌やTVのワイドショウなどで、おもしろおかしく取り上げられるような問題の駄目歯医者や、法外な治療費を要求するような悪徳歯科医師のいいわけではないつもりです。

歯科疾患や歯科医療の特異性などを理解していただくことで、私たち歯科医師との間によりよい信頼関係を築くことが出来れば、それが患者さんの歯や口腔の健康に大いに役立つということを、いくつかのクレームの例をあげながらお話して見たいと思うのです。

◇治したはずの歯はまた悪くなった

虫歯を治しに行くと、歯科医師は虫歯の部分を削り、金属やプラスチックを詰めます。痛くなると、今度は神経を取ってその部を埋めます。虫歯を治したいといっても、悪くなった組織を取り除き、それ以上悪化しないようにしたうえで、失った部分を人工物で置き換えただけのことで、決してもとの健康な組織に回復したわけではありません。

一方、手に怪我をして、病院で手当を受けた場合はどうでしょう?医師は傷を消毒して縫合し、傷が治るのを待ちます。つまりは、患者さんの治癒力が有効に発揮しうる環境を整えただけなのですが、しばらくすると傷口はふさがり、もとの健康な皮膚でおおわれます。

どうしてこのような違いが生まれるのでしょうか?皮膚は再生するのに対し、歯は再生しないからです。一度失った歯は二度ともとには戻りません。

手の傷が治ったということと、虫歯が終わったといっても、健康な歯と比べると欠陥だらけなのです。

そいうわけで、治療を受けた歯は、治療の履歴のない健全な歯に比べると、症状が再発したり、さらに深刻な状況に陥ったりする可能性が高いので、術後のフォローアップが重要になってくるのです。

◇治療期間が長い、治療回数が多い

年末が近づいてくると、「毎日でも通うので、お正月までに歯を治して、おせち料理をおいしく食べられるようにして欲しい」といって来院される方が毎年何人かおられます。こういう方は、歯の治療も家を建てたりするのと同じで、突貫工事さえすれば、工期が簡単にできると思っておられるようです。

入れ歯や冠(クラウン)は、ものを作るということなので、歯科技工士ががんばってくれればその分早くできるかもしれませんが、歯肉の腫れを治したり、神経の治療をしたり、歯を抜いた後の歯肉の治癒を待つというような場合には、期間の短縮はできないのです。

歯科の治療は、患者さんの治癒力を利用して治すステップと人工の歯を作るステップからなっており、それ相当の期間、回数が必要なのです。

☆治療費が高い、明細が不明瞭

保険診療を前提に考えると、日本の治療費は、欧米諸国に比べかなり安いといえます。ちなみに歯科先進国であるアメリカの場合、日本の数倍から10倍程度の治療費がかかるうえに、日本のような健康保険制度がないので、個人で費用負担しなければなりません。

アメリカ人は、もともと歯の健康に対する意識が高く、歯を非常に大事にする国民だといわれていますが、これは治療費が高額なためにそせざるをえなくなったともいえます。また、民間保険では、定期検診の費用が支払われるので、予防に熱心になるという事情もまります。

反対に日本では、国民皆保険制度の手軽さゆえ、痛くなるまで放っておくような方がいつまでたっても減らないのも事実です。また、一方、歯科医院側としては、いくら十分な時間をかけて丁寧に診察しても、受け取る保険診察報酬は変わらないので、出来るだけコストを削減し、少しでも多くの患者さんを診ようとする傾向もあり、こういう事情から、日本の歯科医療のレベルが一部で低下したり、診療内容とその治療費の関係が不透明になったりということも否定出来ません。

最近では、この解決策の一つとして、保険診察においても治療の内容のわかる明細領収書の発行が義務づけられています。

実のところ、クレームなどだれもつけたくないし、聞きたくもないはずです。そのためには、術前に納得がいくまで主治医と話し合ったうえで治療を受けて頂くことが重要ですが、一番望ましいのはなるべく治療をうけないことです。これは決して歯科医院に行くなということではなく、治療を受ける必要のない状態に自分の歯を保つということです。これからは、虫歯を治すためではなく、虫歯にならないように歯科医院を利用していただければと願っています。

参考文献 なるほど現代歯塾~健康で快適な生活のために~ 徳島大学歯学部創立30周年記念出版 医歯薬出版

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