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2008年5月 8日 (木)

インプラントの材料

本日は、加藤大幸先生の著書「よくわかる歯科インプラント治療」よりお届けいたします。

インプラントの材料

1960~1970年代初頭までのデンタルインプラントは、どちらかというと実験的な治療と考えられ、取り組むのも先駆的な研究者や医師に限られていました。

その当時主流だったインプラントの形状は、骨貫通タイプ、骨膜下タイプ、骨肉ブレードタイプなどで、いずれもさまざまな金属で作られていましたが、骨と金属との反応の問題や、骨に埋め込まれたインプラント上部構造(金属の人工歯や土台)が装着させた時に起こる電食作用(電気分解により金属が腐食される現象)などが懸念されていました。

これらの問題を解消するために、炭化ガラス、熱分解カーボン、単結晶サファイア、そして、アルミナ等の非金属製の歯根型、ブレード型インプラントが開発されました。

しかし、それらの非金属製のインプラントは、骨に結合しないので適切な初期固定を得られなかったり、骨生理学や機能圧(噛み合わせ)への対応に関さす知識や理解も十分でなかったために、失われたインプラントがたくさんありました。

おそサファイアインプラントの90%以上が失敗していると思われ、現在ではこの様な非金属製の骨膜下インプラントは行われていません。

現在使われているインプラントの大半がチタン合金製で、チタン表面にプラズマを容射したり、ブラスト処理や酸処理をしたりして、表面を粗面にしています。そうすることによって表面先が大きくなり、骨との結合がより強固になるのです。

チタンの表面は、化学的に安定した酸化チタン膜で覆われています。チタンはイオン化せず、成分が腐食して溶け出す心配がない安定した金属で、毒性もなく、発ガン性の心配もありません。さらに、細胞との親和性が高く、拒絶反応がまったく起きないため、骨や軟組織の細胞が表面によく接着するというインプラントにとって最適な性能を備えているのです。

また、チタン表面に歯の成分と同じHA(ハイドロキシアパタイト)をコーティングして骨結合を促進するインプラントも開発されています。インプラントの形態もシリンダータイプやスクリュータイプだけでなく、歯根と同じ形態のものもあります。

このように、多くのインプラントシステムが開発されていますが、骨と接する表面には大きく分けると2種類に分類出来ます。インプラントのチタン表面を粗面にしたものと、HA(ハイドロキシアパタイトでコーティングしたものです。

HAコーティングは骨の状態が悪い場合に有効で、簡単に早く骨結合が起こります。しかし、HAコートが6~7年で吸収して溶けてしまい、表面に炎症性細胞が出現すると、急激にインプラント表面に炎症が起こり、オッセオインテグレーション(骨結合)が壊れてしまいます。

一方、チタン粗面は骨との親和性が研究された事によって、HAコートと同等の骨結合が出来るようになりました。ですから、経年変化がない安定した物質であるチタンの方が、問題発生の可能性が低いので、安定して信頼性の高いインプラント表面性状であるといえるのです。

チタン表面に起こる骨結合の質と量は、その表面性状にかなり影響を受け、粗い表面の方が滑沢なものより早く確実に結合が起こります。表面性状には機械で削りだしたときの研磨熱で酸化膜をつける初期のブローネマルクと表面処理をして表面積を増やし、結合を高めたものがあります。

削り出しタイプの初期のブローネマルクインプラントは現在でも発売されていますが、今日、インプラントという表面処理されたものが主流になっています。

表面処理にもいろいろなタイプがあります。それぞれ特許を取得しているためインプラントメーカーによって異なりますが、代表的なものとしてノーベルバイオケア社のタイユナイト、アトランティックのTiblast、ストローマン社のSLAサーフェイスなどがあります。

いずれも甲乙付けがたいものがあり、チタン表面にプラズマレーザーを容射して粗くしたり、表面に硬い粒子をジェット噴射でぶつけることによって表面処理したり、強い酸で表面を溶かして処理をします。どれも骨と親和性が良好で、電子顕微鏡で確認すると、インプラント表面に新生骨が加骨してくるのがわかります。おおよそ6週間で骨結合し、これは前述したHAコーティングとほぼ同等の結合速度です。

また、骨との親和性をさらに高くする表面処理や、より結合を強固にするインプラント形態も可能となっております。手術時に骨に対する力のかけ方や、過度の摩耗熱をかけることの危険性、さらにはインプラントに必要な安定性に関連した骨生理学や粘膜の創傷治癒の研究がより深く理解されて、安心して使用できるものになってきているのです。

そして、最新の研究では、仮にインプラント周囲に炎症(インプラント周囲炎)が起こったとしても、適切な処置をしていれば大丈夫であることも分かっています。今日までにデンタルインプラントは41年の臨床実績があり、感染が起こった場合や問題が発生した場合の研究にも盛んに行われているようです。

これまでのインプラントは、より早く安全に骨結合を獲得するための研究・開発が主流でしたが、最近では、さらに進化し、炎症が波及しにくい表面性状や骨が吸収されにくいインプラント形態などの研究・開発が進んでいます。ですから、最新のインプラントは最善のインプラントで、安心して治療を受けても大丈夫なのです。

日本ではまだまだインプラントを否定的に考える歯科医が多く存在しますが、これは、過去の古いインプラントの失敗がトラウマになっているのかもしれません。インプラントについて、正しく理解し、正しく使っていればなにも問題ありません。ダイビングで初めて海底に潜るのは怖いものですが、安全性を正しく理解した上で勇気をだして潜ってしまえば、そこに今までとは違った素晴らしい世界が広がっているのです。

参考文献 よくわかる歯科インプラント治療 加藤大幸著 現代書林

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