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2008年4月 6日 (日)

歯科金属アレルギーでなにが起こる?3

昨日の続きです。本日も吉川先生の著書からお届けいたします。

☆アトピー性皮膚炎(歯科金属との関係は解明されていないが・・・・)

治りにくいアトピー性皮膚炎の原因が、実は口の中の歯科金属ではないかということも、最近よく耳にすることではないかと思います。

実際、当院でも病院を転々としてもよくならなかった皮膚炎が、メタルフリー治療のあとで改善した症例がいくつかあります。

しかし、最初にはっきりしておかなければいけないのは、歯に詰めたりかぶせたりした金属が、アトピー性皮膚炎を起こしているという証拠は何一つ見つかっていないということです。メタルフリーにすることで、難治性のアトピー性皮膚炎が治る患者さんもいるし、治らない患者さんもいます。

歯科金属がアトピーを引き起こすという疑いに対して、化学は「完全にクロ」と判定できていません。しかし、科学者の目から見て「完全にシロ」とはとても言い切れないような“状況証拠”はたくさんある、それもまた事実です。

したがって歯科金属アレルギーに取り組んでいる歯科医は、「非常にクロに近いグレー」しかし「決してクロとしては扱えない」問題として、患者さんと相談しながら治療を行っているわけです。

☆京都の小学生に対する疫学的調査から☆

「状況証拠」の一つを、次ぎに紹介しましょう。口の中に存在する歯科金属、とくにアマルガムに含まれる水銀が、アトピー性皮膚炎の重大な原因になっているのではないか、という研究報告です。

京都市のアレルギー科医師、島津恒敏博士(島津医院)は、アマルガムが小児アトピー性皮膚炎の発症に、どの程度の影響を与えているかを調べました。(『皮膚』第42巻・増刊22号、2000年10月)。

島津先生は、京都市内の小学校の1年生から6年生までの256名に対して、口の中の歯科金属のアマルガムがあるかどうかを調べました。また同時に、アトピー性皮膚炎を発症しているかどうかも調べました。そのうえで、アマルガムが口の中にある子供達とアマルガムがない子供達の間で、アトピー性皮膚炎の発症率にはっきりした差が認められるかどうかを検討しrたのです。結果は、明らかでした。

アマルガム治療を受けた児童(98名)のうち、皮膚炎を有する児童は48%であったのに対し、アマルガム治療を受けていない児童(158名)には、皮膚炎が7.6%しかなかったといいます。つまり、アマルガム皮膚炎に対して、実に6倍以上もリスクが高いという結果がでています。

歯科金属アレルギーに取り組んで、長年「メタルフリー治療」を行っている歯科医院では、歯科金属が原因で、アトピー性皮膚炎を起こしていたと思われる患者さんの症例は、いくつも持っているのではないかと思います。

たとえば、大阪のある歯科医も、アトピー性皮膚炎の患者さんにメタルフリー治療を行った結果、約7割の患者さんに改善が見られたと報告しています(産経新聞・9/11)

明日へ続きます。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林

☆アマルガムは消えていくのか・・・・・☆

有機水銀中毒による水俣病のことは、読者の皆さんもよくご存じのことと思います。では、なぜ水銀を含むアマルガムという合金が、歯科金属として使われているのでしょうか。

これは、アマルガムに含まれる水銀は無機水銀だから安全だ、と考えられているからなのです。

実際、100年以上の歴史を持つアマルガム合金に対してはアメリカ歯科医師会、日本歯科医師会、厚生労働省が安全宣言を出していて、これを使用することは現在も歯科医療で選択される一つの方法として認められています。

もちろん、最近ではいろいろな歯科材料が普及してきましたので、審美的にも強度としても、アマルガムよりすぐれたものが使用されることが多くなってきました。しかし、かつてアマルガムはとてもよく使われていたのです。

歯科金属アレルギーの問題が「グレーゾーン」で問題になっているいま、「疑わしきは使用せず」の姿勢で、アマルガムを使用しない歯科臨床医も増えてきています。新しく治療する患者さんは、気になるようであれば、歯科金属の材料について積極的に質問するようにするとよいと思います。

アマルガムがアトピー性皮膚炎を起こす、あるいは本書(実際の参考文献で参照してください)の冒頭で紹介したアメリカの事例のように、神経に機能的な問題を引きおこすということは、実証できていません。しかし、アマルガムは自然淘汰されていく運命にあるようです。

歯科金属については、このようにきわめてゆっくりとした変化が、いま起こっているところなのではないかと考えられます。

〔症例 歯の治療直後、突然顔に湿疹ができはじめた)

Cさんは57歳の女性です。会う人ごとに「きれいなお肌をしていますね」といわれるほど、色白できれいな女性でした。

ところが、近所の歯科医院で治療を受けた後から、急に顔に湿疹が出来はじめました。きれいな肌は見る見るボロボロになっていったそうです。治療を受けた歯科医に相談したところ、「金属アレルギーかもしれない」といわれ、居住地の市民病院の皮膚科を紹介されました。

Cさんは、皮膚科を受診して金属アレルギーかどうか調べてもらおうと思いました。ところが、検査は拒否されました。Cさんが「検査して欲しい」とお願いしているのにも関わらず、医師は「あなたのこの症状は、絶対に金属アレルギーではない。自分の長年の経験からいって、そんなことは絶対にあり得ない」といわれ、パッチテストすらもしてもらえなかったそうです。

同じ病院の歯科口腔外科でも相談しましたが、やはりその歯科医にも「金属アレルギーではないと思う」といわれたそうです。困ったCさんは、インターネットで歯科金属アレルギーについて調べ、当院のホームページを見て受診したのです。

早速パッチテストをして見たところ、17種類の金属のうち白金、クロム、亜鉛、マンガンの4種類の金属アレルギー反応が現れました。明らかに金属アレルギーです。

亜鉛は、現在Cさんの口の中に入っているすべての詰め物に含まれている金属元素です。そこで、口の中の金属をすべて除去することにしました。メタルフリーの治療を行ったのです。

そして15ヶ月後。Cさんの顔からは湿疹は消え失せ、もとのきれいな肌に戻ったのです。治癒まで15ヶ月もかかったのは、おそらくCさんの新陳代謝が良くなかったからだと考えられます。真夏でもほとんど汗をかかないので、体内に溜まった金属イオンが排出(解毒)されるまでに、時間がかかったのだと思われます。

なお、この間、Cさんは皮膚科的治療は一切行っていませんでした。

皮膚科の先生がおっしゃったという根拠はわかりませんが、当院での治療の経過と結果を見れば、明らかに歯科金属アレルギーによる湿疹と考えられます。

このケースのように、長期にわたって慢性化した皮膚疾患に悩んでいる患者さんは、多いのではないかと思います。

後日談ですが、顔の湿疹がひどい頃、自分の顔

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