口から始めるアンチエイジング4
昨日の続きです。
唾液分泌の促進を
ここで、鶴見大学歯学部付属病院アンチエイジング専門外来における取り組みの内容を踏まえて、アンチエイジングに対してどのような歯科的アプローチが可能か見ていきましょう。
老化対策としてまず考えたいのは、「唾液分泌の促進です」。
唾液に含まれる様々な成分が、脳や体の老化を防止したり、細胞を活性化したりすることは、すでに述べたとおりです。さらに、外部からの病原菌の侵入を防ぐ抗菌作用や、粘膜を修復する作用、あるいは歯の再石灰化を促す作用など、人間の体をトータルにケアしている唾液ですから、全身のアンチエイジングには欠かせない要素と言えます。
唾液の分泌を良くする方法についてはすでに述べましたが、病気や機能的な障害がない限りは、基本的にはよく噛むことで唾液の分泌量が増えるはずです。唾液は単なる水分ではないということをよく理解して、普段の生活の中で唾液をよく出すように心がけたいと思います。
アンチエイジングに対する次の取り組みは、「筋機能療法による顔面・口腔周囲筋のトレーニング」です。
口の周りの筋肉が衰えることによって咀嚼筋が弱まり、それによって唾液の分泌量が減少し、脳の働きや体の筋力も低下するわけですから、口腔の周りにある筋肉のトレーニングが重要になります。
顔の表面に表れるシワやたるみも、口腔周囲筋や表情筋を鍛えることによって改善することができます。見た目の若さも大切ですから、トレーニングも日常的に習慣づけることが大切です。
サプリメントを取り入れる
次ぎに、「坑酸化物質の口腔粘膜からの採取」がアンチエイジング対策としてあげられます。簡単に言えば、サプリメントを採取して老化に対抗しようというものです。
アンチエイジング医学の普及・啓発を行っている日本坑加齢医学学会では、アンチエイジングの実施として、サプリメントを「第三のステップ」と位置づけています。
「第一のステップ」はライフスタイルの改善によって生活習慣病の改善を図ることです。生活習慣病の改善なくして若返えいは望めませんから、これが最も重要なポイントになります。参考までに、ライフスタイルの改善・チェック項目も挙げておきましょう。
・ライフスタイルの改善~チェック項目
【呼吸に注意を払う】
体に十分な酸素を取り入れるように心がける。出来れば、簡単なものでいいから本などをみて呼吸法を実施
【水をよく飲む】
一日に体重の30分の1の水を飲むようにする
【食事に注意を払う】
高タンパク、高ファイバーを心がけ、「グラセミックインデックス=GI値(その食物が血糖値を上げる高さの指標)」に注意を払った食事を実施する。なるべく血糖値を上げない食物をとるのが理想的です。(GI値60以上の食品はなるべく避けるか、食事の後半に食べましょう。なお、話題のインスリンダイエットはこの理論が基になっています。)
【運動を生活に組み込む】
ストレッチ、エアロビクス、筋力トレーニングの三つのプログラムを生活の中に取り入れる
【快適快眠を心がける】
一日に7~8時間を目安に質の高い睡眠を心がける
【ステレスマネジメント】
自分なりのストレスマネジメントを考え、笑いを増やし、快適な生活を選択する
そして、最後の「第三のステップ」に、サプリメントが来ます。最初からサプリメントに頼るのではなく、正しい知識を得て栄養や運動に配慮し、次ぎに生活習慣を正し、そのうえで体に足りないものを取り入れる、という考え方から三番目のステップになっているわけです。
アンチエイジングのための代表的なサプリメントには、「抗酸化作用」と「免疫賦活作用」を持つビタミンやミネラルなどがあります。
抗酸化作用とは、活性酵素の害から体を守ってくれる作用のことです。発生した活性酵素を捕捉し、安定させる防御機構として注目されているサプリメントとしては、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンC(フリーラジカルを捕捉)、ビタミンE、コエンザイムQ10などが挙げられます。
抗酸化作用以外にも、ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち、ビタミンCは、コラーゲンの生成に不可欠とされ、筋肉、血管、皮膚、骨を強化し、ビタミンEは細胞膜を健全に保つとされています。
実は、唾液の専門家としては、この抗酸化物質に非常に注目しているのです。
明日へ続きます。
参考文献 「現代病」ドライマウスを治す 斉藤一郎著 講談社
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