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2007年12月13日 (木)

美人の条件3

昨日の続きです。

顔を構成する個々の要素のうち、特に我々に関係があるのは、目、歯、唇です。明眸皓歯(めいぼうこうし)といい、澄んだ瞳、白く美しい歯で、美人の形容に使われています。また、歯と唇とは密接な関係があることから、中国に「脣歯(しんし)」という言葉があるくらいです。これは、中国の「左伝」にある「諺所 謂、輔車相依、唇亡歯寒」から由来しています。

本来、「くちびる」という文字には「脣」が使われていました。現在は、「唇」の字が使われています。脣の「辰」は、貝殻が開いて弾力性のある舌(吸水管)が出てふるえる様を表しています。「脣」は「肉付き+音付辰」の会意兼形声文で、柔らかく、ふるえるくちびるという意味なのです。

「唇」は、もともとふるえることで、本来「脣」とは別字でしたが、後に混用され今日にいたっています。

顔の中で最も自由に動く、口唇の動的表現による美的効果は絶大で、その変化複雑です。

乳幼児の唇が小さく、可愛いのは、顎が未だ発育途上で、噛むという動作がなく、哺乳が主で積極的に噛む運動がないので「おちょぼ口」と言われるような形なのです。授乳期間に終始母乳(ほ乳瓶から吸う)で育った幼児とでは上唇の形が違います。

母乳栄養の幼児は上下唇の口角部は一致していますが、人工栄養で育った幼児は上唇の横幅が短く、両端は口角の手前で止まっています。それが増齢的に噛む運動が積極的になるにしたがって、唇は横に幅を広げ、厚さを増して行きます。そして、色も「紅き唇」(茜色)から暗紅色になり、唇の輪郭の稜が鋭くなってきますが、個人的に一様ではありません。唇の格好は人種によって違います。西洋人は薄く、日本人は比較的厚く、黒人は厚く大きいのです。また、性別、年齢によっても違います。

最近、口唇が大きく、薄く、笑うと奥歯まで見える女性がいます。これは下顎骨の発育が悪く細いためで、唇と下顎骨のバランスの視覚的錯覚によってそのように見えるだけです。計測すると意外と両瞳間隔と口角幅はほぼ等しく、外観上、下顎骨の発育が悪いので口唇が目立った結果であるようです。

また、形の良い唇を持ちながら、なんとなく締まりが悪い女性を見かけます。マリリンモンローがうっとりしたときにやる演技の中で唇を少し開いたポーズの事です。一見セクシーですが、普段からこのような状態、悪く言えば口の締まりが悪い人は、顎とその周囲の筋肉の弱さによるといえるでしょう。

また、口角部には口角挙筋と口角下制筋があって、笑ったとき口角挙筋が働いて口角を挙げると明るい笑顔になります。これも良く噛んで口の周りのニ筋肉(口輪筋、口角挙筋や口角下制筋)を訓練することによって、自然に行うことが出来るようになります。

お化粧に念を入れる前に、美人の大切な条件である「しまり」のある口もとについて考えて見ませんか。それには常に良く噛む習慣を付けて筋肉に張りを持たせるようにすることと、精神的に自分の顔に自信を持つことです。

さて、鏡に向かって唇をただ正面から澄まして、閉じた形だけで念入りに化粧をしても無駄です。その前に、自分の唇の斜めや横や真横からの形を見極める必要があります。大切なのは、唇は、話す、笑うなどの動作によって、たちまち変化する動的な存在であることを忘れてはいけません。

談笑ですぐ不自然に崩れて見えるような、静的化粧を施したのでは問題になりません。

唇の形を基礎的に決定するには、前歯の生えている上下顎骨(歯槽突起)の構成の形と前歯列のそろい方です。したがって、入念に化粧しても徒労に帰する場合が多いのです。

唇を美しく見せるには、歯牙の萌出時期から注意して、さらによく噛む習慣をつけることで、顎の順調な発育を促す必要があります。

歯列不正による口吻突出(出っ歯)は、日本人に非常に多いようです。何も口吻の突出の程度が、直接、頭脳や知性の優劣を示すものではありませんが、鼻と違い突出しない方が優美に見えます。このような口吻突出(出っ歯)を江戸時代から今日まで陰語で「山桜」と言っていました。なぜならば、山桜は花(鼻)より葉(歯)が先に出るからです。

西田正秋氏は『犬歯(八重歯)が出ていて可愛いなどていいながら、ルージュの塗り方を工夫しているような不合理さをもっているようでは、到底、真の美女にはなれませんし、知能指数を疑われてもしかたがありません。土台の如何も考えず、ただただ「化粧の嘘飾」というような一面的考え方は改めたほうがよい』と述べています。

さらに八重歯は、海外ではドラキュラを想像させるので、忌避されます。いずれにせよ、口唇は審美の面からも、愛情の面からも重要な要素であります。

参考文献 噛む 歯は命 長谷川正康著 求龍堂

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