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2007年12月25日 (火)

顎関節症を考える2

昨日の続きです。本日も木野孔司先生 杉崎正志先生 和気裕之先生の「顎関節症で困ったら」からお届けです。 

オフィスの冷房で口が開けづらくなった

実際に、顎の痛みや口が開けづらいなど症状がなかなか治らず、その原因もわからずに苦しんでいた患者さんの例をご紹介しましょう。

25歳のOL、A子さんです。1年前の夏ころから、時々口が開かなくなって、無理に開けようとすると右耳の前のあたり、つまり顎関節のところに痛みを感じるようになりました。

口を開け閉めする時に、顎の関節から「カクカク」という音もします。この関節の音は中学生のころからあったそうです。

初めは痛みや関節の音が気になっていたそうですが、秋が過ぎて寒くなってくると症状が和らぎ、冬の間はまったく異常はありませんでした。

ところが、再び夏を迎えて暑くなってきたら調子が悪くなってきたので、著者の病院へ来院しました。

すぐに顎関節症と診断しましたので、最初に、スプリントという器具を装着する治療で、様子を見ることにしました。ほかに、セルフケアとして、A子さんが好きなフランスパンや硬いおせんべいをあまり食べないように、またこの仕事中に電話を肩で挟むことを止めるように指導しました。

このスプリントを使った治療で、顎の痛みや、口が開けにくくなる症状はいくらか良くなりましたが、それでも時々口があけずらくなることがあり、なかなか完全には治りません。

初診から2ヶ月ほど経って、どんな時に口が開けづらくなるのか、さらに詳しく思いだしてもらったところ、「そういえば休日に口が開かなくなったことはない」との答えが返ってきました。おそらく平日の仕事が症状と深く関わっているのだろうと、ようやく直接の原因に近づくことができました。

その後、何度かの診察をするなかで、仕事中に食いしばりが起きていることがわかり、「オフィスの冷房でそれがひどくなる」ことにA子さんは気が付きました。いつもカーディガンと膝掛けを手放せないほどオフィスの冷房がきつくて、しかもエアコンの吹き出し口がA子さんのデスクの真後ろにあるというのです。こうした仕事中の寒さに反応して、知らず知らずに奥歯を強く噛み締めていたようです。

そこで、A子さんは上司に相談して、寒さを避けられるようにデスクの配置換えをしてもらいました。また、A子さん自身、仕事中になるべく上下の歯を接触させないようにして、極力、食いしばりが出ないように気をつけました。こうした原因を取り除くことによって、A子さんの通院はようやくピリオドが打たれました。その後も「カクカク」といった関節の音は続いたものの、生活に支障があるほどではなく、顎の痛みと口の開けづらい症状は消えてしまったのです。

仕事のイライラや姿勢の悪さも原因になる。

もう一つ、例をあげて起きましょう。

52歳のB子さんは、何年も前から口が開けづらくて悩んでいたのですが、いくつかの歯科医院で診察をうけたものの良くならなかったという方です。

左右の顎の関節の近くに痛みがあります。口が開けづらいという症状が初めて現れたのは5年前で、その時はある歯科大学の病院でスプリント療法をしばらく続けましたが、痛みは消えなかったそうです。

そのため、2年前から近所の歯科医院に移って、別の種類のスプリントを夜間に付けるようになり、それで痛みはいくらか軽くなったそうです。今でも口が開けづらいことには変わりないそうですが、その先生に紹介されて来院しました。

診察したところ、口を開ける痛みは側頭筋という耳の前上方の筋肉に起こっていて、頭痛のように感じます。口は大きく開けられず、開口は38ミリ(上下の前歯の距離)が、精一杯でした。また、口を開け閉めする時は「カクカク」音がし、これは20年も前からあったそうです。

B子さんの生活状態をいろいろ聞いてみると、次の事が分かりました。

  • B子さんは美容院を経営されていて、毎日非常に忙しい
  • いつも疲れ気味で、イライラしやすく、熟睡できない。
  • 血圧が高いので、降圧剤と精神安定剤を服用している
  • 仕事がら無理な姿勢をすることが多く、歯を食いしばっていることがある。
  • 数年前に腰痛が出て、うつぶせで寝る癖がついた

これらの生活上の習慣や環境などは、すべて顎関節症に繋がる要因です。これを出来るだけ取り除くために、初診時からいくつか指導をしました。

まず、睡眠時の姿勢を仰向けに変えました。この効果は十分にあったようで、2週間後には口を開けるときの痛みが無くなり、開口の範囲も45ミリまで広がりました。

さらに仕事中はなるべく姿勢を良くして、食いしばりが出ないように気を付けた結果、初診から2ヶ月後には「カクカク」という関節の音を除いて、症状はすべて消えてしまいました。こn関節の音も初診の時に比べてかなり小さくなっており、生活には支障はありません。

その後のB子さんは、ご主人の協力で仕事の量も減らせるようになり、表情まで明るくなりました。

このケースでもおわかり頂けるように、かみ合わせの状態をみたり、X線写真で顎の骨を検査しても明らかな異常がなかった時は、初めに生活習慣を改善したり、さらに患者さん自身のセルフケア治療の重点を置くことが大事です。

参考文献 顎関節症で困ったら 木野孔司 杉崎正志 和気裕之共著 砂書房

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