咬合関連症候群2
本日も昨日の続きで長坂先生の著書よりお届けいたします。
聴力測定で分かって来たこと
「咬合関連症候群」を詳しく調べて分析してみますと、整形外科の領域、あるいは内科の領域と重層的な関係が非常に多いことがわかります。
頭痛、肩こり、腰痛、めまい、難聴などのおそれがある場合、内科、整形外科、耳鼻咽頭科、整体マッサージなどを訪れます。
顎関節症の症状が出てはじめてその原因を歯科、口腔外科関係ではないかと考え始めるのです。
先ほど述べましたように、通常、治療としてスプリント(マウスピース)を入れたりして治していきます。場合によっては、口腔外科に行って手術をしてりします。
ところで、「咬合関連症候群」というのはだれでも持っている症状なのです。どういう事かと言いますと、「かみぐせ」でも起きてしまいます。
日本人は、左の歯ばかりでのかみぐせの人が多くいます。これは、日本人は、お箸を持ちますので、普通、右手で持ち、口の左の方に食べ物を持っていき、左側の大臼歯で食べ物を噛むという咀嚼行為を行います。
聴力の統計を始めた頃、何で左の低周波の聴力低下の人がこんなに多いのか、左の歯ばかりがなぜ悪いのか、右が悪い人は少ないのか、最初は分からなかったのです。
「あなたはどこで噛みますか」と若い人に聞くと、「奥歯で噛む」と答える人が多くいます。おそらく小臼歯を使っている人は少ないと思います。
それで、大臼歯の歯が悪くなってきて来て、噛めなくなってくると、犬歯から大臼歯までの中間のところで噛むようになります。そうしますと、聴力は一時的に向上します。
さらに年をとって来て、犬歯から大臼歯までの中間のところも抜けたりして犬歯だけ残りますから、その犬歯だけで噛むようになり、高周波が下がって来ます。その時の聴力の値が耳鼻科の老人性難聴パターンと一致するということが分かって来ました。
この「咬合関連症」での症状のある頭痛、肩こり、腰痛、難聴などの症状は、「かみぐせ」がある時もこのような症状あ現れます。また歯科疾患があってもこのような症状が現れます。また歯科疾患があってもこのような症状が現れます。
しかし、その症状そのものの場合、歯科以外の他の科を受診してしまいます。「顎関節症」の症状が発症して初めて歯科を訪れます。このことは先ほどから述べている通りです。
これから「咬合関連症」とは、「顎関節症」とは、ということを説明して行きたいと思います。
咬合関連症とは
「咬合関連症」とはなにかと言うことを整理してみたいと思います。
- 歯科疾患および咀嚼障害に関連して増減する体全体の症状。つまり、歯を治療して改善した症状群をいいます。マッサージをして治ったものも「咬合関連症」ではないわけです。専門医の処置、また、薬の作用もなしに症状の改善が見られるものを咬合関連症といいます。
- 歯科治療を行ったことにより症状が軽くなる
- 義歯をいれたり、痛みの処置およびかみ合わせ訓練などの歯科処置により症状の変化が確認できたもの
- 発病症状に対する関連科の治療行為は行わないもの。
- その変化が客観的に評価出来るもので、計測機器などによる観察分析が出来ること。
などと、「咬合関連症」を整理することができます。
また、どのような条件の人に「咬合関連症」が多いかを考えて見ますと、
- 左右のどちらか一方で噛む癖のある人
- 歯並びの悪い人
- 右または左に虫歯があり、またその痛みなどがあり、左右均等に噛むことが出来ない人
- 入れ歯を壊れたままで放置している人
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすく、その部位で噛めない人
- 乳歯から永久歯への交換が正常に行われなく、古い乳歯が長期残存している人
- 長期間歯が欠落したまま放置している人
- 歯周病(歯がぐらぐらして)で、噛む箇所が定まらない人
- 左右の歯列のバランスが悪い人
- 歯ぎしりなどが多い人
- 仕事が忙しくて疲労や睡眠不足があるという人
- 長時間にわたってパソコンなどによるデスクワークをしている人
- あまり運動をしないため、全身の筋肉が衰えている人
- かたよった食事をして、いつも軟らかいものを好んで食べている人
という人に多いことがあげられます。
ただ、これらの人に見られる共通の事項として口腔機能に虫歯や何らかの異常があるために、噛みぐせが生じ、その「かみぐせ」による障害が口腔以外の領域に派生していることが多いとうことが分かりました。
「日本全身咬合学会」では、98項目ほど挙げていますが、私は症状をそこまでは細かく分けていません。それは「かみ合わせ治療」として次の項目をチェックしています。
- 肩こり
- 耳鳴り
- 頭痛
- めまい
- 腰痛
- 立ちくらみ
- 手足のしびれ
- 涙目
- 目の痛み
- 肋間神経痛
- 座骨神経痛
- いらつき感
- 手足筋肉痛
- ぎっくり腰
- 膝の関節痛
- 四十肩、五十肩
- 顎関節症状
ということになります。
これらの症状は歯科関連の症状として常識では考えられないことと思われますが、実際歯科治療を行い、治療前後の問診などによりその症状の改善が顕著に現れて来るのです。
また、そのことから「咬合関連症」の症状を考慮しますと、潜在的歯科疾患を持った方が非常に多いと思われます。
参考文献 アンチエイジング かみ合わせ力 長坂 斉著 アートダイジェスト
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