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2007年12月22日 (土)

生活の中の口腔衛生2

昨日の続きです。

口腔衛生の種類と実践

成書によれば、口腔衛生とは「歯と口腔の疾病を予防して、それらの健康を保持増進し、間接的に全身の健康を保持増進することを目的とすること」とあり、実際に口腔の健康を保持増進するための方法を、我々は歯口清掃と呼称しています。

歯口清掃とは、歯科疾患あるいは口腔経由疾患の予防のために、口腔内で行われる総ての処置を意味します。歯口清掃の方法は以下の様に分類します。

  • プラークコントロール(う蝕、歯周病の予防)1)自然清掃法2)機械清掃法3)化学清掃法
  • 含嗽(口腔、咽頭の清掃、予防)
  • 消毒・外用薬(口唇、口内炎の治療)

今回は、プラークコントロールの機械清掃法までお伝えします。

「スローフード運動」の歯科的効果

自然清掃法とは、咀嚼、唾液などと共に、飲食物による清掃作用がこれに含まれます。最近活発になってきた運動で、「環境白書」も推奨している「スローフード運動」などは、運動の主旨とは異なるが、歯科的な見地からは、まさにこの清掃性を合致しています。

「食事くらいはゆっくり食べましょう」というスローフードの提案は、健康のためだけではなく、環境に負担をかけない生活も目的とされます。

1986年のイタリア北部のブラという小さな町で生まれた、伝統的な食材や料理を守り、ゆっくり食事を取るほかにも、子供達も含めた消費者に味の教育を進めるといった、スロ-フード運動は欧州に広く浸透しました。

フランスでも10年前から「味覚のレッスン」という活動が起こり、その活動内では実際にハーブを嗅がせて香りを体験させたり、何が身体に良いのかなどを教えています。

ファーストフードと異なり、粘着性の少ないスローフードは、特に新鮮な野菜や果実が有用な清掃食品になることが認められており、活発な咀嚼や味覚障害による唾液流出量の増加と、これに続く嚥下により、口腔内の不潔になりやすい因子を除去します。

歯磨きは主としてはおよび歯肉に対して、行われるものであり、口腔内全体の清掃はしておらず、スローフード運動の歯科的効果は大きいのです。

Knightonは、被験者に酵母菌を食べさせた2時間後に、食材などを食べた場合と歯磨きをした場合とを、酵母菌の減少率にて比較する実験を行いました。この結果、歯磨きよりも、食品(バナナ、オレンジ、ガム、リンゴ)を食べたり咀嚼した方が、清掃作用が強い事がわかります。ただし、この実験は、元来口腔内に存在しない菌を用いた条件であり、歯垢(デンタルプラーク)に対する結果ではないですが、リンゴや梨、あるいはお新香などを食事の最後に食べることは、以前から有効な清掃法として我が国でもよく知られていて、各地で実施されています。

2005年7月、健全な食生活を育成、教育するために、家庭・学校・地域社会の中心に「食育」を推奨し、国や自治体が取り組む事を定めた、「食育基本法」がようやく実施されました。食育を智育・徳育・体育の基礎となるものと位置付け、食に関する知識と食を選択する能力を身につけ、健全な食生活を実践できる人間を育てることを目的としています。

我が国では、O-157、BSE、鳥インフルエンザ、SARSなどという専門用語が何を意味するものなのか誰もが知っているほど、食の安全性に問題が生じ、さらには偽装表示などという悦の問題まで露呈てしています。

ものような状況に追い込まれたことにより、ようやくスローフード運動に準じたものが、我が国でも法政化したのかと思い、内容を確認すると、上記のような食の安全性を中心とした項目はあるが、食の基本であり、またスローフード運動の基本でもある、「噛んで食べる」ことに関しての、歯科的あるいは口腔衛生の観点からの言及はありませんでした。

「食育」とは「何をどのように食べるか」に集約されると考えるがどうでしょうか?「食べる事は身体的・精神的に健康的な状態を維持するための基本的な活動」と日本学術会議でも位置づけられており、健康長寿に必要なのは、「噛んで食べる」ことに他ならないのです。

この趣旨から厚生労働省を主体に、8020運動(80歳で20本以上保有する)も現在展開しています。したがって、咬合・咀嚼の専門家である歯科医師の立場から見た食育基本法は、現時点では完成度の低いものにしか映らないのです。

ただし、本法の成立を機に、欠損部を補うためにも歯科の専門家を積極的に呼び集め、「噛んで食べる」ことを重要視した食育が、将来は広く実施されることを期待します。

明日へ続きます。

参考文献 オーラルケアのためのアロマサイエンス 千葉栄一著 フレグランスジャーナル社

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