インフルエンザ気道でブロック
本日は、日本経済新聞10月8日分の科学のページからお届けいたします。
インフルエンザ 気道でブロック 慶應大学、細胞に感染させぬ薬開発
慶應義塾大学の佐藤智典教授は、新しい仕組みで作用する抗インフルエンザウィルス薬を開発しました。
口から吸い込んで感染場所となる気道でウィルスを待ちかまえ、体内の細胞内に侵入するのを防ぎます。
感染した細胞からウィルスが出てくる“出口”を抑える従来品とは異なり、“入り口”でブロックします。
動物で安全性などを調べた後、来年にも臨床試験に入る計画です。
同大学ベンチャーのグライコメディクス(東京・渋谷)との成果。佐藤教授は「治療と予防の両面で、従来の抗インフルエンザ薬と相互補完的な役割を発揮出来る」と期待しています。
インフルエンザはウィルスが体内細部へ侵入して増殖し、細胞外へ出て広がっていきます。従来のインフルエンザ薬「タミフル」などはウィルスの細胞の出口を止め、ウィルスの増殖を抑えます。
研究チームは、ウィルスが細胞表面の生体分子「糖鎖」を目印にくっつく過程に着目しました。新薬はウィルスの糖鎖認識部分に「ペプチド」という物資を結合させました。この結果、ウィルスは細胞侵入の目印が分からなくなり、感染を妨げます。さらに、開発した薬剤を吸い込むと、気道上部にうまく送り込めることも製薬企業のシュミレーション(模擬実験)で分かりました。
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