おしゃぶりなら大丈夫なの?3
昨日の続きです。
おしゃぶりの功罪2
2005年秋に、米国小児歯科学会の乳幼児突然死症候群(SIDS)専門委員会は従来の姿勢を大幅に変更し、SIDS発生を抑制する有効な手段として、睡眠時のおしゃぶりの使用を推奨を勧告しました。しかし、おしゃぶりがどのように、SIDSの発生を抑制するのかは証明されていません。また、赤ちゃんの睡眠環境は各国の育児事情によって大きくことなるので、すべての国がこの勧告に該当するかどうかもわかっていません。
SIDSの発生は1歳未満に限られ、中でも生後6ヶ月以内がほとんどなので、起きている時に使用したり、満1歳以降の子どもにおしゃぶりを与えてもSIDSの予防にはなりません。
一方、母乳哺乳児のSIDS発生率が低いことは、以前から良く知られていました。したがって、たとえおしゃぶりにSIDS抑制効果があったとしても世界中のすべての赤ちゃんにおしゃぶりが必要と言うわけではないのです。特に、母乳育児中あるいは母乳育児を希望している方には、おしゃぶりを使わないことをおすすめします。
また、最近日本ではアレルギー性鼻炎や扁桃腺肥大による口呼吸の子どもが増えたと実感する臨床家が多く、一部でおしゃぶりを口呼吸防止に有効なトレーニング器具としえ勧める傾向があります。しかし、鼻呼吸が本来の呼吸パターンである赤ちゃんに、あえて副作用を無視してまでおしゃぶりを積極的に用いることは推奨できません。
一方、前述の鎮静(痛)効果は広く認められ、育児、看護担当者にとってはおしゃぶりが“都合の良い方便”となっている現状が伺えます。
人手の足りない看護環境や孤立しがちな育児環境が多い実態をふまえると、おしゃぶりの使用の是非を一律に判断するのは難しいと思いますが、今後、おしゃぶりに変わるケアが模索されていくことを期待しています。
参考文献 お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども 佐々木洋著 医歯薬出版
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