象の歯、犬の歯
本日は、徳島大学歯学部創立30周年記念出版された「なるほど現代歯塾」からのコラムをお届けいたします。
動物にはライオンやトラのような肉食動物、馬や牛のような草食動物、人や猿のような雑食動物がいます。
肉食動物のすべての歯は、高くて鋭い咬頭を持ち、肉を引き裂き細分し、骨をかみ砕くのに適しています。草食動物の臼歯は、平らになっていて、草をかみ、すりつぶすのに適した形をしています。雑食動物の歯は、両者の性質を兼ね備えて、その中間の形をしています。
象の歯は大きな体に似ず、人よりもすくなく26本しかありません。歯の「象牙質」は、象の牙、つまり象牙に由来しています。象の牙は犬歯ではなく、上顎の切歯(真ん中の歯)が長くなったもので、一生伸び続け、3メートルを超すものも珍しくありません。
象の臼歯は上下左右に6本ずつありますが、それらは同時に生えることはなく、草履のような大きな臼歯が1本ずつ、計4本生えているにすぎません。
ある期間働いて役目を終えた臼歯は、後方から生えてきた新しい臼歯に押されて抜け落ちてしまいます。象の臼歯は6本あるので、5回生えかわることになります。
犬の歯は人よりも多く、42本あります。私たちは犬歯という用語を用いますが、この歯は犬の牙に由来します。
犬は肉食動物なので、獲物を捕らえるために犬歯が発達しています。雄の犬歯は特に大きく、闘う武器としても使用しています。命名が良いイメージではないので、特に欧米では、尖頭のようにとがっていることから「犬歯」ではなく、「尖頭歯」と称するようになってきています。
身近な動物の歯の数をご存じでしょうか?
魚、蛇、ワニなどの歯の数はおおくてその数も一定していませんが、人を含めた哺乳類の歯の数は一定しています。
下の表に私たちの身近にいる哺乳類の歯の数を上げてみましたが、結構数がばらついているのがわかります。
- 豚 44
- イノシシ 44
- 犬 42
- 馬 40
- 猿 32
- 牛 32
- 山羊 32
- 猫 30
- コウモリ 30
- カンガルー 30
- ウサギ 28
- 象 26
- モルモット 20
- ネズミ 16
参考文献 なるほど現代歯塾 徳島大学歯学部創立30周年記念出版 医歯薬出版
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