嚥下障害と食事1
我々歯科医師の仕事は何か?と問われれば、私は迷わず
「美味しく食事が出来る様にサポートすること」と答えるでしょう。
歯科医師によっては、「笑顔を引き出すため」という答えもあるかもしれません。それも間違ってはいません。
今後、高齢化が進み、自分自身で食事が出来なくなってくる患者さんが多くなってくると思います。
そのため、今回から何回かに分けて、食事が出来ずらい「嚥下障害」について書いてみたいと思います。
今回から、嚥下障害についてのテキストは、【「口から食べる 嚥下障害Q&A」藤島一郎著 中央法規社】を用います。
嚥下障害とはどういうものですか?
私たちは普段何気なく食べたり飲んだりしています。あまり疑問も持たずに食べて生きているわけですが、これは生まれてから乳を飲み始めて離乳食で練習して徐々に獲得したものです。
もし、「食べたくても舌やのどが思うように動かなくて食べられない、飲み込めない」ということになったらどうでしょうか。
また、口から上手に食べているように見えても、実際は食べ物に一部が肺の方へ流れ込んでいるかもしれないと考えた事はあるでしょうか。
水や食べ物が飲み込めなくなったり、肺の方へ入ってしまうことを「嚥下障害」といいます。
嚥化障害になると栄養がとれなくて、栄養失調を起こしたり、肺炎などの呼吸器の病気にかかってしまいます。食物などが肺へ入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」と呼びます。
嚥化障害はその原因によって次の2つに大きく分けられます。
①腫瘍やその手術後、炎症などにより、飲み込む時に使う舌やのどの構造そのものが障害されている場合。(器質的原因)
②構造物(のど、その他の器官)の形には問題がなくても、それを動かす神経、筋肉などに原因がある場合。(機能的原因)
③心理的な原因が関与している場合。(痴呆、鬱病、心身症)
日常いちばん多いのは脳卒中によるものですので、「脳卒中による嚥下障害」を中心に説明していきますが、対応法の多くは原因によらず共通している場合が多いです。
嚥化障害は飲み込む事だけが障害されたことを示す言葉です。しかし患者さんは、飲み込む前の食物の認識や、口への取り込み、咀嚼などが障害させている事もしばしばです。
では次に、嚥下障害の患者さんにはどのような食物を食べていただいたら良いのでしょう。
主婦と生活社の「かみにくい・飲みにくい人の食事」から抜粋です。
この本によると、食事の基本は「栄養のあるものを食べやすく」と言うことです。
①噛みやすいものを選ぶ
刺身、豆腐、果物などそのままでも柔らかい食品や、切り方に工夫したり、煮込む・蒸すなどの加熱によって噛みやすくなる食材を選びましょう
②飲み込みやすくする
飲み込みにくい食品はさけましょう。調理の際、とろみをつけたり。ゼリーで固めるなど、口の中で食べ物がバラバラにならず、のどごしが良くなる工夫をしましょう。
③栄養のバランスを忘れずに
食べやすさだけに気を配っていると栄養が偏り、健康的な生活は送れません。高齢になっても栄養価のあるものをバランスよく食べることがとても大切です。
加齢とともに身にしむことです
薬は1つつ”、食品は小さくして、姿勢を正して
いただくよに心がけています
水分を多めにしています