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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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2019年5月25日 (土)

歯科検診でみえてくるもの

今週の木曜日に2回目の学校歯科検診(郡山東高校)に行ってきました。
今年から、自分の口腔内で気になる事があれば、事前に質問事項が検診票に付箋で貼ってあります。
多くの質問があると思うのですが、面白い事に3つの質問しかないのです。
・歯肉からの出血
・知覚過敏
・顎関節症
本当に、計ったようにこの質問しかありません。
これらは歯科の問題点を鋭く突いているのです。この質問3つは(笑)。
口腔内で発生する問題での2大原因は、「バクテリア」と「荷重(ちから)」です。
歯肉からの出血の原因はバクテリアが原因です。
バクテリアとは、細菌の事で、歯に「歯垢(細菌のかたまり)」や「歯石(細菌のかたまりが固まったもの)」がこびり付き歯肉の炎症や発赤が起きているのです。いわゆる歯周病。
顎関節症というのは、下顎骨を支えている顎関節部の故障の事。なぜ故障するのかといえば、噛み合わせが左右非対称で、同時に噛めないので、異常のある顎関節部の下顎頭が異常に後方へ移動してしまい、それに伴い関節円板が前方へ移動をしてしまう疾患。つまり、「荷重(ちから)」が掛かりすぎているのです。
知覚過敏(歯がしみる事)の発生機序は、歯周病や歯肉炎で、歯肉が下がってしまい、敏感な象牙質が露出してしまっているパターンと、歯ぎしりや食いしばり等の力で、エナメル質が剥離(「はくり」 脱落してしまうこと)が起こって、象牙質が露出したり、神経の近くまで歯が無くなってしまったりと、歯周病の原因と顎関節症の原因がミックスした現象なのです。
学校検診のわずかな人数(といっても人数は100人を超える大人数なので、統計的n数は必要充分)で、歯科の問題がクッキリ浮き彫りに出来たのは面白いなって思いました。
新任の養護の先生のお手柄だと思います。
ただ、生徒さんから顎関節症を相談されても困った事が。
それは、顎関節症とは、下顎骨の動きが制限される為に、左右の顎関節部の動きが妨げられて(非対象に動いてしまう)起こる症状なので、下顎骨や上顎骨の末端についている「歯」を動かして顎関節部の動きを滑らかにしなければ行けないから、「顎機能矯正をしたらいかがですか?」と忠告すると、「矯正が終わったら,顎関節症になってしまった」という答えがチラホラ。
顎関節というガジェット(機械的な動き、メカニズム)を理解しない先生がいるのかもしれません。
矯正というのは、並べやすく抜歯して、見た目を良くして・・・・も大事ですが、上下の歯の接触関係を無視した「見た目優先」では顎関節を悪化させてしまうのではと懸念してしまいます。
矯正治療で顎関節症になってしまった患者さんに、「もう一度矯正治療をさせて頂けませんか?」ってお願いする程、辛い事はありません(泣)。

L1000507