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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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2016年2月 2日 (火)

どうしても再現不可能な処置もあります。

人間の三大欲求の中には『食欲』というのがあります。
なぜ食欲が三大欲求の中に含まれるかと言えば、食事をする際に使う「舌」に大きな秘密があります。
舌は一つの臓器なのに4つの神経が絡んでいます。
舌神経(三叉神経の枝)、舌下神経、舌咽神経、鼓索神経(顔面神経の枝)
それと舌は舌体前2/3と後ろ1/3では神経が違うのです。
これらの神経はそれぞれ、舌を動かす神経、舌の感覚を司る神経、舌の味覚を司る神経が後ろと前で複雑に絡み合い機能を果たします。
そのため、口腔内は非常に敏感になっています。美味しい食事は、食感、見た目、味、匂い等々多くの要素が絡み合って脳に旨み信号を伝達しているのです。この口の食事の中の働きで舌の占める割合はかなりのものです。
例えば、食事の中に髪の毛一本でも混入していると、『ちょっとお母さん、おかずに髪の毛はいっているよ〜〜〜」という会話が家族団らんの中に飛び出してくるのは、舌の敏感な感覚のおかげなのです。
しかし、我々歯科医師が困った事も、この舌の感覚でおきてきます。
例えば、前歯を処置した場合、前歯の形態が以前と少しでも異なってしまうと、発音や息の抜けた方などが全く違った感覚になってしまうのです。大方気にしているのは患者さん本人だけの場合が多いのですが、患者さん本人にとっては一大事なのです。なにしろ何十年も一緒に生活してきた環境(特に他人とコミュニケーションを取るための大事なツール)が全く変わってしまうのですから。
患者さんは異口同音で、「さ行」と「た行」が喋りにくいと仰ってきます。
これは、以前と同じ発音にするには同じ歯の形態でないと再現不可能なのです。
もともと歯の形態や歯並びに問題があったため、処置した歯なので歯科医院的には口腔内の健康度をアップしているのですが、感覚的(これは患者さん固有のもの。歯科医師には分からない領域)には不自由を感じてしまうかもしれません。
そのため、我々歯科医師が行うのは処置をする前にしっかりと口腔内の感覚が変わることをしっかりと納得してもらう努力が必要かもしれません。処置を行った後説明をしても納得出来ずらい可能性がありますので。
非常に難しい問題なのです。ヒトの感覚は。

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