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しろくま先生のブログ
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2014年9月17日 (水)

Gummetal研修会に参加してきました。

今月の14、15日の連休中に、長谷川 信先生のGummetal研修会に参加してきました。

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このGummetalとは、矯正ワイヤーの新素材で、非常に多くのメリットがあると言われているもので、実際に開発に携わった長谷川先生のお話を聞ききたいと思い、期待に胸弾ませながわの参加でした。
結果から言えば、非常に面白い『当たり』の研修会でした。多分近いうちにもう一回同じ研修会に参加したいと思わせるものでした。
長谷川先生の矯正理論も、今私が取り組んでいる『シークエンス咬合』に非常に近いものでした。
やはり、骨格形態の変化は、原因を先に究明して、その道筋をたどりながら治療していくと非常に短時間に苦痛も少なく治療が完了するというお話でした。
その原因の話の中に、人間の顎骨の進化の過程でも歯列不正の原因があるということを長谷川先生はお話になりました。その話が非常に興味深くて、興味深くて。
どんどんと話に引き込まれて行きました。
簡単に説明すると、昔のヒトはかなり口腔内の苦労が今の現代人よりも少なかった可能性があるらしいのです。昔のヒトっていっても今から約500万年前のアウストラロピテクス(アナメンシス猿人)の事です。
この猿人と現代人の口腔内の大きな違いは、食事の違いでした。
アウストラロピテクスは、二足歩行を開始ししたため、それまでの樹上の果実などを中心としていた生活をする必要がなくなり、樹から地上へ降りる事により食生活は大きく変化していきました。
食生活は、柔らかい果実から、硬い繊維を含む雑食化を強いられることにより、咬合様式は著しく変化して行きました。それはどういう事かといえば、現代のオラウータンの様な大きく発達した犬歯によってガイドされた肉食蝶番運動のみでは十分な咀嚼、消化が不可能になったので、すりつぶし運動(側方運動)が必要になってきました。この変化を「咬合様式のホモ化」というそうです。その結果、犬歯の縮小、口頭形態が丸くなり、エナメル質の厚みが増加するなどの変化をもたらしたようなのです。
この結果、歯牙は、激しい咬耗のため歯の表面に細かく入っている小窩裂溝(みぞ)がすり減って消失、歯と歯の間の隙間が消失、歯列全体の近心移動(前方への移動)がおこったというのです。
これらの減少により、歯の溝がなくなり、虫歯の減少、歯の間の隙間がなくなったことによる歯周病の減少、歯が前方に移動したことにより、親知らずのスペースもでき咬合に無理なく参加でき、不正咬合も減少したというのです。これって、とても画期的な咬合だと思いませんか?
現代社会でこの咬合様式で生活しているのは、アマゾン最も深い場所で生活するヤノマミ族のみとなってしまったとの事です。
進化の過程で、ヒトは火を使うことを覚えました。火といってもただ炙るだけですから、食事は硬いままです。ここまでは良かったのですが壷が発明され、煮込む事が出てくると、食事の硬さに変化が出てきました。食事がだんだんと柔らかくなって行ったのです。
この進化が進み、人間の咬耗現象が停止してしまったのです。このことによる咀嚼力の減少から顎の発育不全が起こり、いわゆる三大疾患『虫歯』『歯周病』『不正咬合』が増加し、歯磨き習慣が不可欠になったというのです。
ただ、人間の噛み合わせは、決して完成されたものではなく、時代や状況に応じて激しく変化し、適応していることが分かるというのです。
その良い例が、昔のお殿様にあるというのです。彼らは健康を維持し、お家存続のために子孫繁栄に励む事が存在意義となったため、健康に特に注意を払う生活になってしまう。特に日々の食事は体に障りそうな食品は禁止され、十分に柔らかく調理した食物をごく少量供されるといった毎日であったと言われます。その結果、彼らの支配階級の頂点に属する人々の食生活は、現代人の「軟食化」に起因する問題を先取りしていたとも考えられるのです。このため、『貴族形質』という上流階級に特有な顔面形態を形作ったというのです。具体的にいえば、著しい軟食化は咬耗の完全停止と歯列狭窄、下顎骨の発育不全、特に下顎枝の縮小と下顎角の開大を招き、非常に面長な顔面形態となったのです。これは、当時の庶民の顔と全く違う、顔つきで現代の若者の顔つきにそっくりです。この貴族形質は、先に解説したヤノマミ族とは真逆です。つまり多くの歯科的疾患を抱える骨格となっていることを示唆できるのです。
という話を長谷川先生はおもしろおかしくお話してくれました。
私は一発で長谷川先生が好きになってしまいました(笑)。
長谷川先生の著者に直筆でサインをもらい、新幹線に乗る直前まで『貴族形質』に関する著書を東京の大型書店で探し求めたのは言うまでもありません。

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