米国式根管治療
6月の最後の週末に、寺内先生の『米国式根管治療』のコースに参加してきました。
このコースに参加するのは3年越しの夢でした。定員が埋まってしまいキャンセル待ちだったり、日程があわなかったりで、本当についてませんでした。
友人の中村先生のご紹介により、念願のこのコースを受講することが出来ました。中村先生ありがとうございました。
寺内先生は、私の知る限り、日本での有数な歯内療法医。論文や先生の症例の写真を何度もみたのですが、これは私だったら抜歯だろうと思う歯でも、見事復活させている。期待に胸が膨らまないはずはありません。
米国式根管治療というのはどんな治療法かといえば、マイクロスコープという歯科用顕微鏡を用い、普段裸眼ではみることの出来ない細く細かいの根の中を覗いて治療を行うものです。
同じ人間がいないように、同じ根管は存在しません。ある程度の予想は付きますが、あくまで予想です。現在行われている根管治療のほとんどは、歯科大学で習った歯牙解剖の知識をもとにして行っています。これは決して悪い事ではなく、ほとんどの患者さんの治療が行えます。ただ、確率統計的に奇形の根管が出る場合があるのです。根管の数が多かったり、途中で枝分かれしていたり。こうした不運は勉強と経験だけでは補えないのです。
そのため、寺内先生は、歯牙1本でさえもCTスキャンを撮影して治療するように指導しています。CTは嘘はつきません。これ以上の確実性の高い治療はありません。
私もCTを診療に多く使用します。非常に有意義な治療が出来ます。CT無しの治療は考えられないと言うところまで来ています。しかし、それはあくまで外科でのことでした。インプラントだったり、手術の為に骨の状態を確認するためだったりに使用していたのです。
それを歯牙1本のためにCT撮影するというのは、考えもつきませんでした。
CTで、詳しい歯の情報を獲得し、その情報という地図をもとにマイクロスコープを用いて治療をするのですから、確実な診断が出来ますし、治療が可能でしょう。
また、根の中の治療が終了すると、今度はその複雑に曲がりくねった根管の中に、神経の代わりとなる薬を充填していきます。この薬も従来使われていたものから、保険適応ではないものまで様々です。
症状に応じて材料を選択するのです。
ここまで読んでもらって、薄々は感じていると思うのですが、この治療は基本的に自費治療となります。1本の歯の根の治療に平均1時間。時には3時間以上もかけて治療を施し、時には保険適応外の薬も使用します。
ここで考えなければならないのは、治療に対する価値観の問題です。
現在、多くの歯科医院にてインプラント治療が行われています。歯を抜歯してインプラントを入れるのか、それともインプラントと同額の料金を出して、自分の歯を持たせるか?それは歯の状態も関わってくる事ではありますが、今後は、自分の歯をもっと大事にする傾向になってくるのかもしれないですね。
YouTube: Hands on training by Dr.Yoshitsugu Terauchi 20140628-29
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