歯医者さんは痛くなったときに行けば良い・・・・?
本日は、トータルスマイルという歯科医師集団がお書きになった『定期健診へ出かけよう』という本よりお届けいたします。
◇歯医者さんは痛くなったときに行けば良い?
Cさんは70歳の男性です。彼は若いときから健康には人一倍気を遣っていました。その証拠に彼は何か異常や痛みを感じるとすぐに歯科医院の予約を取り、診察を受けたのです。
「先生、今日も右の上に痛みと腫れがあって・・・・・・診てもらえますか?」
それを受けた先生は、
「ああ、ここが腫れているね。これは、神経を取った歯だから脆くなって割れてしまったのですよ。もうどうしようもないから抜いた方がすっきりしますよ。」とレントゲンで根が割れているところを指摘しながらおっしゃいました。
Cさんは、過去の事をいろいろ思いだしていました。
「この歯の神経を抜いたのは・・・何回か詰め物をしたけれども外れてしまって・・・そうだ、しみるようになって・・・・それで神経を抜いてもらったんだな・・・。」
そして、疑問におもったのは・・・・
「歯は、削ったところから大きくなって、しまいには抜かなきゃいけなくなる運命にあるんだ・・・・でも、前にテレビで80歳で20本の歯を残そうと言っていたがそんな人たちってどうやって健康を維持しているのかな・・・・・?」ということでした。
しかし、Cさんのお口にはも8本の歯しか残っていません。最近は、入れ歯が大きくなったこともあって、食事もあまり美味しく味わうことが出来ないと感じていました。
彼はもちろん入れ歯が手放せない状態です。
もちろん噛みやすいインプラントも考えたことがあります。しかし、彼のお嬢さんご夫妻はご自宅を新築なさるということで、是非援助してあげたいので経済的な余裕はあまりありません。
しかし、入れ歯に対しては、「力が入らない」「よくかみ切れない」「違和感がまだある」などの不満もお持ちです。
「あ~ぁ、どんどん歯が無くなってじきに総入れ歯になるんだろうな~とため息をつきました。
Cさんは、いつもトラブルがあるとすぐに歯科医院にかかるように心がけていました。
しかし、Cさんの歯は小さい詰め物が徐々に大きくなり、そして神経を抜き、その歯が割れてきて抜かなければならなくなるということを何度となく経験してきました。
「何か間違っていたのかな・・・・」
というのがCさんの素朴な疑問でした。
Cさんの疑問はたくさんの方が感じられていることなのです。
何が間違っていたのでしょうか?
◇歯医者に行けば行くほど歯は、悪くなる・・・・・。
Cさんの経験なさったことは、ほとんどの日本人が経験していることだそうです。なぜなら、“日本”という国の成人の歯の数は、先進国の中で最下位なのです。
皆さんもショックを受けていると思いますが、実は“タイ”という国の人々よりも歯を健康に保持している人は少ないのです。
日本での80歳の歯の本数はわずかに6本に比べ、タイは10本以上歯が残っているのです。もちろん、欧米では20本を超えている国がほとんどです。
長崎大学の新庄先生がまとめられたデータでもこのことは証明されています。
そのグラフ(実際の本を参照ください)でもお分かりになるように、症状がある時に歯科にかかっている人は80歳になるとわずか6本の歯しか残らないということなのです。
なぜ、日本人は、高度な医療技術がある環境にいながら決して先進国とは言えない“タイ”の人々より残る歯の本数がすくないのでしょうか?
なぜ、欧米の人々の半分くらいしか歯が残らないのでしょうか?
それは、5つの大きな理由があると思います。
①定期的に歯や歯ぐきの手入れを歯科衛生士にしてもらう習慣がない。
②歯のにトラブルが発生して初めて歯科医院を受診するという習慣が定着してしまって。
③むし歯の治療は削って詰めることで完全に回復するという勘違いが常識として定着してしまった
④流通が発達し、いろいろな砂糖を含む食品が市場に溢れ、いつでもどこでも簡単に手に入る環境がある。
⑤保険制度の弊害で、歯科医院は“削って詰める”という行為を行わなければ収入を得ることが出来なかったために歯医者さんも行政もあまり予防に関心を示さなかった。
よく考えてみると歯医者の側にも一般の方々の側にも原因があることがわかります。しかし、同じ環境であれば、この事実は変えようがありません。
それは、、、、、「歯医者に行けば行くほど歯は、悪くなる」
これが日本の正しく、そして悲しい現状なのです。
しかし、このままでいいのでしょうか?
参考文献 定期健診へ出かけよう トータルスマイル(天羽大介 鎌倉聡 佐名川徹 田中伸尚 笠井啓次 竹下誠 成富健剛)著 ブイツーソリューション
最近のコメント