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2009年11月20日 (金)

寿命と歯槽膿漏1

本日と明日の2回に分けて、野田先生の著書『歯周病で死ぬのはイヤだ!』よりお届けいたします。

◇寿命と歯槽膿漏

歯槽膿漏にかかった患者さんは、助けを求めて歯科医の元を訪れます。ぐらつきだした歯を治したい、以前と同じように物が噛めるようになりたいという希望をもって、歯科医院を訪ねます。

はたして、その実態はどうでしょう。多くの場合、ぐらついた歯を抜きます。と診断されるのではないでしょうか。また、歯を抜いた後に歯茎から血や膿が出なくなり、気持ちよくなったでしょう、といわれるのではないでしょうか。これは、今まで行われてきた歯槽膿漏に対する現実的な問題解決方法であることは確かなことなのです。

というのは、歯槽膿漏の原因は細菌説が有力ながら、進行して末期になると決定的な治療法や特効薬がありません。ですから歯槽膿漏の初期段階での治療には自信がありますが、末期では延命がせいぜい、というのが歯科医の本年です。つまり、歯を抜く以外に方法がないわけではないわけで、悲しいかな、これが現状であるわけです。

ですから歯科医は、早い段階で治療に来てくだされば治るのに、もっといえば、早い段階いで来てほしいと願っています。

とはいうものの、歯槽膿漏は初期から中期までは、自覚症状がありません。したがってそのような方は、歯槽膿漏の治療ではなく、虫歯の治療を希望して歯科医院を訪れます。

そこで、善意のある歯科医は虫歯を治した後に、歯槽膿漏も治療します。するとどうでしょう。それは気になっていない歯でした。と患者さんのつれない言葉。

ときには、痛みもなにもないのにいじられた、お金儲け主義じゃないか、と勘ぐられたりします。

歯槽膿漏の治療を希望してきた患者さんでも、この一本はあきらめてください、末期の歯槽膿漏は治すのが難しですから、これ以上の歯が同じ末路をたどらないようにしましょう、と説明すると怪訝な顔をします。

たとえこの歯がなくなっても、それ以外の歯が今のままでなら文句ないでしょう、と説くと、そんな話は信じられないと言いたげです。

このような経験をした歯医者は、症状が出るまで放っておこうと考えるのも無理ありませんし、また患者さんが望まないことを出来ないのが医療というものです。

なぜ、このような事がおこるのでしょうか。それはおそらく歯科医は歯槽膿漏を治せるのは初期から中期であると考えているのに対して、患者さんは歯槽膿漏の末期になって、はじめて何とかしてほしいと考えるからでしょう。

こう考えると、やはり患者さんが歯槽膿漏の正しい知識を持たなければ、歯槽膿漏の治療は成り立たないkとも事実です。

それでも、賢明な読者のみなさんは、これだけ科学が進歩した現代で歯槽膿漏が治らないはずがないという疑問を持たれるのではないでしょうか。

確かに考えるのは無理もありません。しかし、歯槽膿漏の研究は、意外と歴史が浅いのです。

明日へ続きます。

参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 著者 野田隆夫 野田雅代 光人社

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