唾液の働き1
本日は、2回に渡り、坂本貴史先生の著書『歯と口の悩みを解決する本』よりお届けいたします。
◇唾液の効用
唾液の中に含まれるアミラーゼは、血液中の血糖値の上昇を速め、食べ過ぎを防いでくれます。さらに、リゾチーム、ラクトフェリンなどは、口の中で細菌が増殖するのを防ぎ、ペルオキシダーゼはたばこのヤニや牛肉の焦げなどの発がん性物質の発がん毒性を抑えるといわれています。
◇ダイエットだけではない唾液の効用
唾液は肥満やがんの予防をするだけではありません。口や歯が健康でいられるためにさらに重要な役割を果たしています。
①食べ物のかすを洗い流す浄化作用がある。
②pHを一定に保ち、細菌の繁殖を抑えるpH緩衝作用がある。
③歯の表面に皮膜を作り、虫歯を防ぐ保護作用がある。
④抗菌作用がある。
などがそれです。ですから、唾液の分泌が少なくなると、虫歯や歯周病にかかりやすくなってしまうのです。
②のpHとは酸性度をはかる単位の事で、ピー・エイチ、またはペーハーと言います。普通蒸留水はpH7で、この値が「中性」です。これよりもpHが小さければ「酸性」、大きければ「アルカリ性」です。
ちなみに、pH5.6以下の雨を酸性雨といいますが、歯もpH5.5~5.7以下になるとカルシウムやリンが溶け出し、虫歯になってしまいます。
自律神経に支配されている唾液腺は、リラックスした状態で食事をすると、副交感神経が優位に働き、さらさらとした唾液を多く分泌します。
ところが反対に、イライラしたり、どきどきしたり、感情に起伏があると、交感神経が働き、ネバネバになり量も少なくなります。そのため、緊張すると食事ものどを通らなくなるのです。
唾液の量が多いほど、サラサラしているほど、今述べたいろいろな作用を発揮する力が高まります。まだまだ体を守る判断力を持たない赤ちゃんがだらだらとよだれを垂らしているのは、唾液にこんなすばらしい力があるからなのです。
明日へ続きます。
参考文献 歯と口の悩みを解決する本 坂本貴史著 法研
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