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2009年9月22日 (火)

感情の老化防止ツール

本日は、和田秀樹先生の著書『人は「感情」から老化する』からお届けいたします。

◇感情の老化予防ツールがたくさんある時代

先日、朝日新聞の読者投稿欄に、九十一歳でパソコンのホームページ作成をはじめた女性の話が掲載されていた。

九十一歳の今も、特に体に悪いところはなく、百歳まで生きるような気がするが、いつまで外出できるかわからないので、今のうちからホームページを作って、そこで友達を増やそう、という話で、深く感動を覚えた。

こんなに若々しい、「超」高齢者もいるのだ。おそらく四十代、五十代でも、この九十一歳の女性よりも、前頭葉が老け込んでいる人はたくさんいるはずだ。

今どきはさすがに、コピーやファックスは部下に頼まないとできないという人は絶滅しただろうが、パソコンを使わない(使うつもりのない)人は、まだ結構いる。事実、先日もメールを送ろうとしたら、自分では開けないという五十代の人がいて驚いた。

インターネットの時代である今、「感情の老化予防ツール」はたくさんある。日記形式で文字を書いていくだけで、自分のホームページが簡単に作れて、写真も一緒に公開できるブログは、猛烈な勢いで開設者が増えている。すでに約九〇〇万人が開設していると言われ、その中には大評判を呼んでテレビドラマにもなった『鬼嫁日記』のようなものある。となると、妻の事が腹立たしければ、『もっとすごい鬼嫁日記』を書くというという方法だってある。

以前であれば、自己表現として小説やエッセイを書いても、まず発表の機会は無かったが、今や人気ブログはプロもアマチュアも関係ない。面白ければ、ネットの読者の支持を集めて、やがて本として出版されるというのはひとつの定番コースとなっている。

もちろん、日々の生活をデジカメと文章で記録して、かつそれを面白く読んでもらうには、かなりの工夫が必要だ。だが、それ故に奥深く面白いともいえる。

人気ブログを作るコツに1つは毎日更新することなので、ブログのネタを探して一日中格闘している「ブログ病」患者が急増している、とも言われている。だが、そのために通勤や散歩のコースを変えたり、常に被写体を探す目で周囲に注意を払っているのだから、脳への良い刺激になっていることは間違いない。

以前のホームページ作成に比べてブログは格段に簡単だ。反面、以前なら書いた文章を何度も読み返していたのに、そのまま投稿することが激増して、頭を使わない垂れ流しのような文章が多いという批判的な指摘もある。

だが、それでもやらないよりはやってみた方がずっといい。要は使い方であって、まずは実践してみることだ。能書きばかり言って、実践が伴わないのは、やはり前頭葉の老化と無関係ではない。

ツールはある。あとはアフターファイブをいかに感情の予防に使うかが問われている。

参考文献 人は感情から老化する 和田秀樹著 祥伝社新書

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