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2009年8月21日 (金)

歯牙の卓越した再生能

本日は、デンタルトリビューン紙2009年8月号よりお届けいたします。

★歯牙の卓越した再生能

~エナメル質深部の構造に鍵~

《米国》天然歯は咀嚼による長期的な荷重負荷が加えられても健全に歯として機能し続けるが、なぜそれが可能なのでしょうか。歯牙の再生能に関するエナメル質の新たな知見がProceeding of the National Academy of Sciences of the United States of America(2009;106:7289-7293)に報告されました。

●●弾性を維持する3つの機能●●

歯牙のエナメル質は本質的に脆弱であり、ガラスのように簡単にクラック(ヒビ)が生じます。

しかし、ガラスとは異なり、エナメル質にクラックが入ったまま人の歯牙は生涯、健全な歯として機能しつづける事が可能です。

そこで、ジョージワシントン大学人類学部のPaul Constantino氏らは、米国立標準・技術研究所の物理学者らと学際的研究の一環として進めました。人歯牙のエナメル質ときわめて類似したラッコ歯牙のエナメル質を用い、室内実験にて人工的に負荷を与えて観察をこないました。

その結果、歯牙が砕けないよう弾性を維持している主な要因として、①応力遮蔽(stress shielding)効果②エナメル質の網の目状構造によるクラック(ひび)拡大効果③自己治癒能~の3つの機能を有していることがわかりました。

●●マイクロクラックへの応力●●

なかでも、エナメル質深部に小さなクラックのように欠けた部位、エナメル叢の存在が特徴的です。この叢は歯牙の発育期に形成されますが、歯牙が萌出する以前にすでに多数の叢が存在します。また、歯牙のクラックの多くは従来考えられてきたように歯牙の外側表面から発生するのではなく、エナメル深部の叢から発生しています。

クラックは叢から歯牙の外側表面に広がり、一旦表面に達すると、う蝕の形成が可能になります。叢は細かい傷を多く内包しながら、圧力を分散してクラックの成長を抑制しているのです。

同氏は、「叢から延びるクラックを有機質が自らふさぐ自己治癒プログラムや、エナメル質の微細構造である網の目状構造によって、クラックの伸長が阻害される」とまとめ、「エナメル叢などこれまで明確でなかった歯牙発生上の機序が歯牙の機能において重要な意義を持つということが、本研究によって初めて明らかにされた」と述べました。

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