子宮内膜症患者で歯周病発現率が5割上昇
本日は、デンタルトリビューン紙2009年6月号よりお届けいたします。
◇子宮内膜症患者で歯周病発現率が5割上昇
〈米国〉子宮内膜症とは、子宮内膜が子宮筋層や骨盤、腸、卵管など子宮以外の場所で増殖する疾患であり、罹患率は月経活動中の女性で約10%前後、不妊症合併症は20~70%と言われています。このたび、子宮内膜症に罹患した女性では歯周病発現率が有意に高くなっていることがFertility and Sterility(2009;2:335-342)に発表されました。
●●4.136人の女性のデータを解析●●
子宮内膜症は、強度の疼痛などの月経前症候群や月経痛、月経困難、そして時に不妊などさまざまな症状を引き起こすが、病因はいまだ解明できていません。
ミシガン大学付属病院のDan.I.Lebovic氏らは子宮内膜症の発現には、月経時の老廃物排出とかかわる免疫システムの障害が影響している可能性があり、慢性炎症疾患の一つであると考えました。
そこで、同様に慢性炎症疾患の一つである歯周病の発現との関連を検討することを目的とし、1999年から2004年にかけて実施された全米健康栄養調査(NHANES)のうち4.136人(18~50歳)の女性のデータを抽出して解析を行いました。
ロジスティック回帰分析を行ったところ、健常者に比較して子宮内膜症を患っている女性患者では、歯肉炎および歯周病発症のリスクが約57%も高くなることが明らかになりました。
同氏らは「子宮内膜症は複数の因子が複合して生じる疾患だが、感染因子への免疫反応の蓄積が関与していると考えられる」とし、「この2つの疾患の間には、免疫システムの機能不全が密接にリンクしている可能性がある」とまとめています。
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