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2009年5月 9日 (土)

なぜ、一度に全ての治療が出来ないのか?

本日は、遠藤為成先生の著書『歯医者さんの治療がよくわかる本』よりお届けいたします。

★なぜ一度にすべての治療ができないのですか?

たった一本のむし歯なのにどうしてこんなに時間がかかるの?

歯医者にかかったことのある人のほとんどが感じている疑問だと思います。治療の遅い歯医者さんは腕が悪いんじゃないか?ついそんなことを考えてしまいがちです。

でもちょっと待ってください。一度に治療出来ないのは理由があるのです。一つは「対処療法」か「根本治療」かという違いがあります。

たとえば、被せ物や詰め物が外れた場合の事を考えてみましょう。治療済みの歯なのだから、単純に被せ物を戻して接着すればいいのでは・・・・と考えがちです。でも、被せ物が取れるのは、むし歯の再発、噛み合わせの悪さ、被せ物の適合の問題など、それなりの原因があります。こうした原因を解決しないで、単に新しく被せたり詰めたりするのは応急処置に過ぎません。

原因を取り除かないで、応急処置をしただけでは、その場はしのげても、歯の状態はどんどん悪くなり、やがて抜歯しなければならなくなるかもしれません。

歯の根の治療も時間がかかります。神経を抜いた後で歯の根の治療(根治)をきちんとやらないと、いくらよい詰め物や被せ物をしても何にもなりません。基礎工事がしっかりしていないと、頑丈なビルが建てられないのと同じです。

歯周病で歯肉が腫れたような時でも、抗生物質などで炎症は一時的には治まるかもしれませんが、原因を取り除かないとすぐに再発します。歯肉に腫れの原因の多くは歯垢(プラーク)や歯石の中にある細菌です。これを除かないと歯周組織は徐々に壊れ、やがて歯が抜けてしまいます。

その場の問題が解決されればそれでいいのか、それとも歯のよい状態を長く維持したいのか。つまり、「治る」という治療のゴール、イメージを患者さんがどこに置くかです。長持ちしなくてもいいから、とにかくいま現在の痛みをとって欲しい、忙しいのであればとりあえずの治療をして欲しいという方もいます。

しかし、原因が取り除かれないかぎり、いつかは必ず歯をぬかなければならなくなります。し

そして、一度治療を始めたら、最後まで続けることが大切です。痛みがなくなるとつい自己判断で「もう大丈夫だろう」と治療をさぼってしまいがちです。もうすぐ治療が終わるというのにこなくなってしまい。しばらくしてまた悪くなって受診する方も少なくありません。治療を途中でやめてしまうと、それまでの治療が無駄になってしまうばかりか、状態が以前よりも悪くなることもあります。

もし、自分の歯を長持ちさせたいのなら、じっくりと腰を据えて治療に取り組んで欲しいと思います。

参考文献 歯医者さんの治療がよくわかる本 遠藤為成著 現代書林  

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