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2009年4月 3日 (金)

高齢者の歯の手入れ

本日はアリソン・レイ先生、デービット・レイ先生共著の『よくわかる 歯と口腔』よりお届けいたします。

☆高齢者の歯の手入れ

私たちの社会は大きくかわりつつあります。長生きになっただけではなく、高齢者が自分自身の歯を持ち続ける期間が長くなり、一生自分の歯で過ごす人も珍しくなくなりました。

しかし、健康な口腔を保つのは困難な人もいます。一番の問題は身体にそして知的な面でも衰えてくることによって引き起こされます。衰えによって、歯を磨いたり、健康的な食事をとることがどんどん難しくなることです。噛んだり、食べたりすること自体も厄介になり、これがさらに問題を悪化させます。

歯肉が時と共にやせてきて、歯頸部や歯根が露出することかた別の問題が生じます。歯根の表面はエナメル質の歯冠より軟らかく、むし歯にかかりやすいので、口腔の衛生状態が悪いことと相まって、高齢者は新たにむし歯にかかりやすくなります。

高齢者は義歯、特に総義歯をいれていることが多いようです。多くの人が30年以上前に、歯を一度に全部抜くのが一般的な治療だった頃義歯を入れたのです。一般に年を取ると歯肉がどんどん痩せていき、義歯はゆるくなり合わなくなってきます。でも高齢者は若い人のようには義歯を新しくしようとしません。合わなくなった古い義歯で何とか間に合わせようとします。

この状態は、加齢による粘膜表面の変化によってさらに悪化します。歳を取るにつれて粘膜は薄くなり傷つきやすく過敏になります。こうした状態は栄養状態が悪かったり、病気だったりすると一段と悪化します。さらに高齢者は唾液があまりでなくなりますし、このような症状を悪化させる利尿剤や坑うつ剤を服用していることが多いのです。唾液がたりないと義歯に問題が生じますし、むし歯や歯肉の病気などの口腔感染症にかかる危険性が高まります。

高齢者は多種多様の薬を投与されていることが多く、中でも鎮痛剤や血圧降下剤などは潰瘍を引き起こす可能性があります。もし痛みや潰瘍などの症状が生じたら、直ちに歯科医に見てもらいましょう。診断がなされて初めて病気に対処できるのです。また、万一の口腔ガンの可能性も排除する必要があります。

高齢者に対する具体的な介助は、口腔衛生を保つことで、もし必要なら歯磨きを手助けします。人によっては普通の歯ブラシより、電動歯ブラシの方が磨きやすいと思うかもしれません。

肉親の高齢者を介護しているなら、義歯を毎日ブラシと洗剤で洗うこと、夜寝る時ははずすことを念押ししてください。自分の歯がもう全然ない人でも、口の中を軟らかいブラシで規則的に洗ってきれいにするのは効果がありますし、健康的でバランスの取れた食事は粘膜の病気を予防します。でももし、問題があればすぐ歯科医に診てもらうことが必要です。また、1年に1回は定期検査をしてもらいましょう。

参考文献  よくわかる 歯と口腔 アリソン・レイ、デービット・レイ著  一灯舎   

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