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2009年4月 7日 (火)

アマルガムの発明と悲劇

本日は、ダニー・スタインバーグさんの著書『口の中に潜む恐怖』よりお届けいたします。

◇アマルガムの発明と水銀をめぐる争い

水銀は、古代エジプト、インダス、中国で知られていましたが、最初に歯科用アマルガムとして使われたのは、西暦639年の唐の時代であったと思われます。

西洋では、それから1000年以上も後になって使われるようになりました。イギリスの歯科医師たち、中でもベルという人を筆頭にして、スズ、ビスマス、鉛、水銀の化合物を使って、金属ペーストの実験を始めました。この人たちは、金(ゴールド)という最高級品に代わる廉価な素材を捜し求めていたのです。パリの歯科医師の一人が銀と水銀の化合物である「銀ペースト」を使い始めたのは、1826年ころです。。それは今日のアマルガムの先駆けでした。

やがて、水銀アマルガムの危険性が歯科医師たちに知られるようになります。まもなく、大西洋をはさんでアメリカとヨーロッパで、歯科医師たちが論争をおこしました。アメリカでは、アマルガムの使用を批判しました。

アメリカ口腔外科学会は、1840年に設立されましたが、水銀使用禁止の決議をしています。そして、会員の歯科医師の組織は、アマルガムを使用しないという誓約書にサインすることが義務づけられました。これは、驚きですが、まさに、現代のアメリカ歯科医師会が求めていることと正反対です。

もっとも、アマルガムを使用して除名された会員もいましたが、金(ゴールド)が買えないひとに対して密かに使用し続けた会員もいました。

1855年頃までにアマルガムの議論に敗れ、その学会は解消します。代わって、アマルガム容認の組織として、アメリカ歯科医師会が誕生いたしました。反対勢力は、追放され、100年におよぶアマルガム使用に対する抵抗も忘れられていきました。

アメリカ歯科医師はアメリカの主要組織となり、今日でもアマルガムの使用を支持し続けています。

参考文献  口の中に潜む恐怖 ダニー・スタインバーグ著 マキノ出版 

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