しろくま歯科医院 WEBサイトへ

しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
毎日のケアについてのアドバイスを載せていきます。
calender

2024年4月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
AED
当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

最近のトラックバック

アーカイブ

リンク



« 突然の電話! | メイン | はじめまして »

2008年12月19日 (金)

“世界”は何を食べているのか?

本日は、丸森英史先生、竹内博朗先生編著である『“食育”は歯科医療を変える』よりお届けいたします。

★世界の肥満人口は、飢餓人口を超えた

「世界の肥満人口は飢餓人口を超えた」とばりぃ・ホプキン教授(ノースカロライナ大学栄養・経済学部)は、シドニーの国際農業経済学会で明らかにしました(2006.8.15)。

世界のすべての人に必要な食糧は生産されているのに、貧困に根ざした不均等な配分が大きな原因です。肥満は先進国だけの問題ではなくなりました。国際途上国にも急速な割合で肥満人口が増えています。その大きな要因としてポプキン教授は加糖飲料の増加を指摘しています。生きるために食べる時代から、美味しさを求める時代になりました。

小銭があればいくらでも美味しいものが手に入る時代です。簡単に美味しさを味わえるには甘味です。美味しさを演出され、一人一人に一つしかない大きさも決まっている胃袋へ、体が必要とする以上に詰め込まれているのです。

国連食糧農業機関(FAO)は、2001~2003年の栄養不良人口を年平均8億5.400万人と推定しています。世界人口の約1/8にあたる人々が食糧不足にあえいでいます。その18%が5歳未満の子どもたちです。一方で、13億人以上が体重過多の肥満です。グローバル化の負の一面です。誰でもどこでも安くて美味しいものが手に入り、ライフスタイルも変化し運動量が少なくなっているのが原因です。

★むし歯予防が食を通じて健康につながる

私たちを甘い魅力で引きつけ結局砂糖を取りすぎているのです。それは単に個人の嗜好の問題ではなく、グローバル化した経済や政治そして豊かになりたいと努力してきた私たちの生活観、生活習慣に深く根ざしています。

歯科の視点で、加糖飲料の増加で思い浮かぶのはむし歯の問題です。先進国はフッ素でむし歯を抑制できたと言われています。しかしフッ素は、砂糖の食べ過ぎの害そのものを消したのではないというDr.Paula Moynihan(栄養と口腔保険に関するWHO協力センター長・英国)の指摘は重要です。砂糖との付き合いがこれからの歯科の課題であるのです。

むし歯も出来ず、それが体の健康に結びつくためには、食のコントロールは避けて通れません。むしろむし歯予防が体の健康に結びつく、そのような歯科からの食を通した保険指導が求められます。

健康のためとは錦の御旗ですが、現実には政治や経済のしがらみで左右されています。われわれが口にする甘いものもこの現実と無縁ではありません。

「美味しさ」に惑わされない知恵が必要なのです。

参考文献  “食育”は歯科医療を変える 丸森英史・竹内博朗編著 クインテッセンス出版

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/161388/17458804

このページへのトラックバック一覧: “世界”は何を食べているのか?

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。