お口のケアで寝たきりを防ぐ
本日は、野田先生の著書「歯周病で死ぬのはイヤだ!」よりお届けいたします。
★お口のケアで寝たきりを防ぐ
脳梗塞などで倒れると、体のあちこちが不自由になります。舌も思うように動かないので、歯のまわりに食べかすが残っていても、舌でかきだすことが出来ません。
さらにいえば、口の中に食べかすが残っていても、そのことさえ分からないことがあります。人の手を借りてお口のケアをしない限り、口の中は悪い菌でいっぱいになるので、歯はボロボロになります。
もちろん、合わない入れ歯を無理して使うと、靴擦れのように、歯肉に悲惨な炎症がおきてしまうこともあります。いわゆる大きな口内炎で痛みを伴います。これを褥瘡(じょくそう)と呼びます。
現在のところ、なかなか口腔ケアまでやってくれる病院はありません。しかし、国立保険医療科学院の花田信弘先生は、お口のケアが寝たきりを防ぐのに画期的な役割を果たすと考えています。
たとえば、虫歯で歯の根しかない状態でも、根気よく歯を再建し、噛み合わせを確保すると、いままで自力では歩けなかった人が歩けるようになったのを目の当たりにしたそうです。また、話しがでいるようになって、表情が変わり、生きていく意欲を感じるようになることもあったそうです。
入れ歯を外された人も、入れ歯を調整して使えるようになると顔の表情が変わり、生き生きとする人もいます。今まで、フガフガいって赤ちゃんのように扱われた人が、入れ歯がちゃんと入ると、突如としてしゃべり出すこともあります。
歯がないことで、どれだけ人の自尊心を傷つけ、人間性も奪っていたかということを思い知らされます。
このように見てくると、リハビリの現場では手を動かしたり、足を動かしたりと、運動機能の回復に重点が置かれているように思えますが、食べることやしゃべることも非常に重要なことだといえます。
つまり、お口の機能の回復に努めることが、ひいては体全体の機能を回復させることにもつながるのです。
参考文献 歯周病で死ぬのはイヤだ! 野田隆夫 野田雅代 共著 光人社
お口は健康の入り口、手当をしながら長く使いたい
と、再認識しました。