親知らずは本当に抜かなければだめか?
本日は、清水敏之先生の著書「見えないから怖い口の病気」よりお届けいたします。
親知らずは本当に抜かなければだめか?
基本的には、きちんと生えていないものは抜いた方が無難です。特に女性は妊娠中に症状が出現すると本当に厄介です。
ただ症状もなく、特に大きな予定がない方ならば、今年抜いても、来年抜いても、予後は変わらないという程度のものです。
症状が一度もでなくて完全に埋まっている時は様子を見るという選択肢もあります。
矯正治療の時、症状が一度でも出たとき、親知らずの頭が一部出ている時は抜歯をお勧めいたします。ここで大事なのは抜かないと決めた時の予後をしっておくことです。親知らずは細菌に感染しやすいところなので、感染すると膿みがたまり大きな炎症になることがあります。すごく痛みが出れば抜こうと決心する助けになりますが、抜くのとあわせて二回痛みを感じなければなりません。しかし、気持ちの上では納得できます。
また非常にまれですが、親知らずの手前の大臼歯が感染しやすくなり、むし歯になって2本とも抜かなければならなくなるケースがあります。10年、20年平気で無症状で経過することもありますが、高齢になって抜くのも、また大変です。
基本的には患者さんの決めることですが、私が相談をされた時は矯正治療など他の治療目的がなく、症状が一度もなく、レントゲン所見で完全に骨に埋まっている時は「様子を見てもいい」と説明します。
以下は抜くと決めた方への注意事項ですが、その他の外科的処置にも応用できますので参考にしてください。
*親知らずを抜く方へ
親知らずは体の中で一番大きな歯の一つです。骨の中に埋まってしまっている親知らずを抜く場合は抜く歯をまずバラバラにし、その手前の歯を保存しながら抜歯します。(通常手術は40分程度かかります。)また、骨も手前の歯を保存するために一部削りますので、必ず腫れます。喉が痛くなったり、口が開けにくくなったり、肌が変色することもありますが、七日から十四日でほぼ消えるので心配いりません。(腫れても冷やさないでください)
まれに、下顎の神経の麻痺が出現することがありますが、ほとんどの場合は数ヶ月で改善していきます。しかし、中には改善しないこともあります。
術後は口の中にカサブタが出来て次第に治癒しますので、たばこ、酒は控え、体を安静にしてください。七日程度は無理をされるとカサブタが出来ずに激しい痛みが出現することがあります。また、術後、唾液に血が混じることがりますのが特に心配はありません。ただ、たばこを吸う場合は四、五日続くこともあります。麻酔が切れるころ少し出血する傾向がありますので、心配な方はガーゼなどで30分から1時間しっかり圧迫してください(食事はしっかりとってください)
*投薬に関して
痛みが出た時。我慢出来るようでしたら痛み止めは服用しなくても構いませんが、化膿止めの薬は毎回規定どおり正しく服用してください。特に注意すべきことは薬のアレルギーで、湿疹、強い下痢などの症状が出現した時は必ず服用を中止してください。
*通院は抜いた次の日の消毒と一週間後の糸抜き、その後状態により二、三回の消毒通院が必要です。
参考文献 見えないから怖い口の病気 清水敏之著 早稲田出版
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