かかりつけ医
本日は、日本経済新聞 平成20年1月20日分の「医療」の中の「駆ける」からお届けいたします。
「かかりつけ医」対話が生む信頼
体の変調をまず診てもらい、治療から専門病院の紹介まで行う「かかりつけ医」。
高度に専門化した現代医療で効率的な受診体制を支える縁の下の力持ちとして注目が集まっています。
医師としての活動の他、寺下医学事務所(東京・千代田)で会員制のかかりつけ医制度である「主侍医倶楽部」を主宰、早くからその有効性に注目してきました。
スタートは1990年。会員は健康な頃から健康相談が出来るほか、病気になった場合は治療に最適と思われる医師を千人程度の中から紹介してもらえるユニークな仕組み。
原則、自費診療で利用料金は高いですが、主旨に賛同した50人以上が参加しています。
参考となったのは皇室の手厚い医療体制。医師団を抱え、皇族の健康維持につとめるほか、病気となった場合は治療方針を相談して決めます。「本人は安心して医師団に任せられる」。
こういう仕組みを一般にも広げられないかと考え、主治医ではなくあえてそばにいる主「侍」医と呼びます。
相談で多いのは「がん」「心の問題」で、全体の八割程度を占めます。なかでも印象に残るのが「末期の肝臓がん」と診断された患者のケース。ある病院で「治療が難しい位置にある。もって数ヶ月」と言われたけれども、がん治療の専門家を紹介し検査をやり直したところ「手術は可能」との結論が出たと言います。
健康な時から行くことが出来るため患者との信頼関係を築きやすいのです。「あなたが病気にならなければ私はゆっくりできる。たばこをやめたらどうですか?」と冗談めかして言ったところ、複数の会員が禁煙に成功しました。
「医療に触れる敷居が低くなり、病気の早期発見がしやすい」。
無駄な診療が減り医療費の抑制につながることもあります。「紹介される医師が良い意味の緊張感を持つ」ことで、良い医療を受けやすくなる利点もあります。
「昔は医師は患者から感謝、尊敬の念を励みに頑張ってきた」が、今は十分な信頼関係を築けているとはいえません。
「医療はあくまで患者を治療するためのインフラ」と語り「(医師と患者との)対決型ではなく、対話型の医療にすすむべきだ」と提言しています。
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