顔の感覚器官
本日は、西原克成先生の「これだけで病気にならない」からお届けいたします。
顔の感覚器官は脳の出生器官
発生学的にみると、顎と口腔と鼻腔は、原始脊椎動物である軟骨魚類のエラ(鰓)の骨から発生したもので、これらは内臓頭蓋とよばれます。
したがって、「エラの張った顔」という表現は学問的にも正しいのです。
エラは呼吸用の内臓器官であり、系統発生学では「鰓腸(さいちょう)」といいます。
嗅覚神経の終末は内臓頭蓋の鼻腔に広く分布していますが、その根元は大脳の最先端に属しており、味覚とともに鰓腸内臓系の化学物質を感受する受容器官(感覚器)となっています。
これに対して、大脳・小脳・延髄と眼(視覚器官)・耳(聴覚・平衡器官)は、頭蓋神経系に属しており、神経頭蓋あるいは脳頭蓋とよばれます。視覚の眼と内耳の聴覚・平衡感覚は、ともに脳の突出した器官であり、脳の一部を形成しているのです。
このほかにも、顔面の皮膚には触覚器官があり、歯もまた重要な感覚器官です。視覚も聴覚も触覚も、すべて鰓腸由来の顎口腔系という内臓器官に隷属する感覚器官であって、脳の末端の出生器官なのです。
もともと脳は筋肉のためのシステムであり、筋肉のない生物には神経がありません。脳脊髄神経と感覚器官と内臓平滑筋と横紋筋は他がたがいに切ってもきれない関係にあります。
脳は、大脳辺縁系(内臓脳といわれています)と、大脳新皮質と小脳(内臓脳に対して体壁脳といわれます)とに分けられます。
参考文献 これだけで病気にならない~「顔と口の医学」 西原克成著 祥伝社
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