喫煙とインプラント
本日は、日本大学歯学部教授 萩原芳幸先生の「50歳からのインプラント」よりお届けいたします。
喫煙とインプラント
喫煙が健康に悪影響を及ぼすということは誰でも何となく知っていて、喫煙=肺ガンというイメージも広く浸透しています。
一方、喫煙が歯や歯肉にも悪影響を与えている事はあまり知られていません。1990年代に入ってから歯科や口腔外科の視点からもさまざまな研究が盛んに行われる様になり、とくに、喫煙と歯周病の因果関係が高いことが分かってきました。
年齢や喫煙量にもよりますが、現在、喫煙者は非喫煙者の3~4倍、元喫煙者でも1.5~2倍ちかくのリスクがあると言われています。
インプラントは比較的新しい治療法であるため、何千何万という対象者を長期的に調査したデータはありませんが、歯周病に対するリスクと同様であることは想像がつきます。
喫煙者におけるインプラント失敗率は、非喫煙者に比べて2~3倍高くなるという報告もあり、インプラント治療におけるリスクファクターの上位に位置づけられています。
では、タバコの何が歯周病を発症させたり、インプラントに悪影響を与えたりするのでしょうか?喫煙により末梢血管が収縮して血流が低下するということは知られています。
口腔内でも同様の現象が起き、まずは血行不良によって低酸素状態に陥ることが歯周病菌の繁殖を助長hしているとも考えられます。
インプラントの場合では、これに加えてニコチン・タールなどの有毒物質が骨や歯肉の再生や修復に悪影響を与え、抵抗力を低下させてしまうので、手術後の傷の治りを阻害・遅延させたり、インプラント生存率(耐久性)を低下させると考えられています。
参考文献 50歳からのインプラント 萩原芳幸、葉山めぐみ共著 小学館
今たばこをすっている方を目にすると、お気の毒に
思ってしまいます。
特に若い女性の方は、と思います。