歯周病の予防はますお口の清掃から2
昨日の続きです。
歯ブラシの効能
さて、それでは歯ブラシの効果ですが、私たち歯科医はお口の汚れ、特に歯と歯肉の汚れを「染め出し」によって評価しています。普通、歯科医は食品添加物に使われる色素が入った専用の染め出し液を使用し、米国のオレリーという歯周病医が考案したプラークコントロール・レコードという記録方法を用いて歯の表面の染め出された面の数に対して、歯の数掛ける4面で割った数字で評価するのです。
たとえば、すべての面の4つの面が染め出されたとすれば、100%ですし、すべての歯の2つの面が染め出されたとすれば50%、と言うことになります。つまりプラーク・コントロール・レコード=染め出された歯面の数/(歯の数X4)となります。
この評価方法が歯周病の治療に導入されてずいぶん経ちますが、一つだけはっきりと分かったことがあります。それは、いくら頑張って歯ブラシをしても0%にはならない、という事でした。私自身も長い臨床経験で体験済みです。つまり、私たちは歯ブラシだけでは完璧にプラークを取り除く事はできないのです。
完璧に取り除く事の出来ない理由の一つには、おそらく歯の形に問題がありそうです。特に奥歯は歯肉との境目の少し上の部分が最も大きく膨れたようになっています。ですから、ちょうど突き出た岩の様になっていて、その下の部分はどうしても歯ブラシが届きにくくなってしまいます。
もう一つの問題は歯と歯とが接触している部分です。この接触部分は人それぞれ大変個性があって実に複雑です。面と面の広い面積で接触している人もいれば、わずかな点で接触している人もいます。
まや、虫歯の治療で冠を被せてもらったりすると、人工的にいろいろな形の接触形態になってしまいます。ところがこの接触している部分が大変汚れやすいのです。ます、歯ブラシで完璧に磨くことは不可能です。
若い人は「歯間乳頭」という歯肉が歯と歯の間を埋めていて簡単には食べ物がその部分に入らない様になっていますが、年をとって来るとどうしても歯肉がやせて歯と歯の間に隙間が出来るようになります。そうすると歯の接触している部分にバイオフィルムが発生し歯周病に罹りやすくなります。ですから、その部分をいろいろな補助器具を駆使して清掃する必要が出てきます。
参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 宮田隆著 医歯薬出版
いつも思っているのですが、この歳(?)になっても、正しい
歯磨きを知らないで歯磨きをしている様な気がします。