スリッパが出てきません!
その日はとても忙しい日でした。
11時から時間のかかる難しい手術の予定が入っていたのです。
そのため、従業員はその時間にほかの患者さんが入らないように、てきぱきと業務を進めてくれました。
しかし、医療はそう予定通りには進まないもの。予定外の処置などが加わったりして、5分、10分と時間がずれ込んできます。
いよいよ、手術をお受けになる患者さんが来院しました。
一応、受け入れ態勢を何とか整え、麻酔を施しました。
そのとき、「先生、顎が開かなくなった患者さんが見えています。」
急患です。顎が開かなくなった時は、時間をおいてはいけないのです。
そのうち顎の組織が壊れ、今まで通り開く様になってきます。患者さんは治ったと思い込んでしまうのです。そのうち、左右の顎のバランスが壊れ、顎関節症になってしまう事が多いのです。
そのため、顎が開かなくなってしまった患者さんも同時に診療することにしました。
手術が始まってしまうと、なかなか顎の患者さんを診ることが出来ないので、手術の患者さんに麻酔を十分に施した後、術野の清掃を衛生士さんに命じました。
その間、顎の開かない患者さんに、なぜ顎が開かなくなった説明をし、顎のストレッチを施し、顎が開くのを確認してから、手術予定の患者さんの元へ行きました。
既に時間は昼の1時近くなってしまいました。手術予定の患者さんには大変なご迷惑をおかけしたと思います。
手術も無事おわり、くたくたになって昼休みを取ろうと診療所を出ようとした時、衛生士さんに声をかけられました。
「先生、スリッパの機械が壊れて、スリッパが出てこないのです」
「・・・・・。」
疲れていたので、本当に機械の故障は、精神的に堪えます。しかし、放置しておいては午後の診療に差し支えるので、スリッパの機械の元へ。
機械の中をのぞくと、確かにスリッパを排出するバネが切れているようで、片方のスリッパだけ出てこないのです。
この機械は、ある掃除器具メーカーから購入したものですが、なぜかそのメーカーがこの機械から撤退。別会社に修理・メインテナンスを依託しているのです。
現在修理・メインテナンスを依託されているメーカーに修理の依頼の電話をかけました。
現在そのメーカーは、東北には駐在所が無く、メインテナンスに出向くことが出来ないということ。
状況を詳しく聞かれ、カスタマーサービスの方が申し訳なさそうに言いました。
「それは、たぶん排出口の部品を交換すれば良いと思います。部品を送りますので、先生が交換してくれませんか?その代わり、部品代は無料とさせて頂きます。」
私は、機械いじりは嫌いではないので、悪い話ではないと思いすぐに承諾しました。
しかし、購入してもいないメーカーの方に、材料まで無料で頂いてしまって、本当に申し訳なく思いました。
機械の世界も定期的なメインテナンスを行わなければならないといけないのですね。
そろそろ、ちらほらと機械が壊れ始めているので、少し憂鬱です。
バネって、構造がシンプルなわりに弱いんですね。
4年近く使っていれば、仕方ないのですかねー。
で…、先生。D社の殺菌スリッパ入れ、直せたんですか?
バネって、構造がシンプルなわりに弱いんですね。
4年近く使っていれば、仕方ないのですかねー。
で…、先生。D社の殺菌スリッパ入れ、直せたんですか?
機械はこわれる
人間と同じですね
安静や栄養ですか。