傷はなめたら治るのか2
傷はなめたら治るのか?という話題でブログをお届けしていますが、実は、実際にネズミを使った実験で確かめた研究者がいるのです。
この研究は、1974年に英国の科学誌「ネイチャー」に掲載されたもので、「大変おもしろい」とこのレポートを書いている山口さんは書いています(唾液は語る 工業調査会)。
実験用ネズミ(マウス)の背中の皮膚を中央で1センチ四方の大きさに切り取ります。なぜ背中かといえば、ネズミが自分自身ではその傷をなめることが出来ないようにするためです。
これらのネズミを1匹1匹別々の飼育かごに入れて飼育すると、傷の治りはとても遅くなります。
ところが、4匹のから6匹をグループにして同じかごの中で飼育すると、、ネズミはお互いの傷をなめあっているのが観察され、傷の治りも1匹1匹別々にしたものよりもはるかに早く治りました。
このことは、やはり傷はなめることによって早く治ると言うことを示唆しています。
次に、唾液腺を除去してしまったネズミでもグループで飼育すると傷をなめ合うのですが、傷の治りは別々にしたネズミのように遅くなってしまいます。
さらにおもしろい事に、唾液腺の導管を糸で縛って唾液を口の中に流れ込まないようにすれば、正常なものよりは、傷の治りは遅くなりますが、唾液腺を除去したネズミよりは早く治ることが認められました。
これらのことから、傷の上に塗られた唾液(口腔内に外分泌された唾液)がその傷を早く治すために役立つばかりでなく、唾液腺から血液中に内分泌されるなんらかの物質により傷の治りが促進されるということが考えられます。
唾液のなかに分泌される、あるいは唾液腺から内分泌されるどんな物質が傷の治癒に関わっているのかは、傷の治癒のメカニズムが複雑なので、現在のところ不明ですが、おそらく唾液腺に含まれる色々な生理活性物質が関わっているにしがいありません。
この実験がネズミに取っては、大変気の毒でしたが、大変有意義な実験だったのではないでしょうか?
唾液の話は、今後も続けたいと思います。
唾液を改めて再認識しました
自分に感謝
生かされているのですね
動物たちは開放創であっても舐めたりもして感染源である汚染物質を取り除いているわけで…。いやはや。
話は変わりますが、傷の治癒のメカニズムの概念、医科の方ではかなり進んでいるようです。歯科には3~4年は遅れて入ってきているように思えます。学生の頃習ったこともないような概念が出てきてますので、今の学生に馬鹿にされないように頑張りたいです・苦笑。