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2006年9月14日 (木)

噛む健康学13

今日も、斉藤先生の「よく噛んで食べる」(NHK出版)からお届けいたします。

胃に負担をかけない噛み方

考えてみれば、分かることなのですが、食物と言うのは、いつでも人間の味方ではないということなのです。残念ながら。

食物は人間にとっては基本的に「有害物質」なのです。例えば、牛乳はバランスのとれた栄養食品です。

しかし、十数年前の不幸な症例ですが、牛乳を直接、静脈注射された患者さんの死亡事故が起きました。

牛乳に限らず、肉、魚などはいずれも大切な栄養源なのですが、どんな食物でも人の体に直接進入した場合、本来、人間の体に存在しない物資ですから、「異物(人体にない物質)」と判定されます。

すると、病原菌やスギ花粉が体内に侵入したときと同様に、異物の有害作用を消去する免疫反応が起こります。

しかし、免疫反応はいつも人の味方として、体を守ってくれるとは限りません。逆に、新しい病変の原因になる場合があります。

これが、不都合な過敏反応またはアレルギーと呼ばれる一連の病気で、時には命に関わる重篤な症状を起こします。

カニ、エビ、青みの魚などは、胃の調子が悪い時には、人によってはじんま疹やアレルギー、アトピー性皮膚炎などの原因になります。

ここで、口から食べた食物が胃腸で消化・吸収される仕組みを見てみましょう。

まず、口から入ってきた食物をよく噛んで細かくします。細かく噛み砕かれた食物は唾液という体液に包み込まれることによって、それぞれの食品が持つ特有の刺激性が和らげられます。

例えば、塩味の濃いおかず(塩辛、佃煮など)もよく噛んで唾液と混ぜることによって、口腔、咽頭、食道、胃の粘膜への過剰な刺激が和らげられるのです。

咀嚼された食物は、すべてそのまま食道を通過して胃に入ります。すると、胃粘膜細胞から大量の胃液(1日平均2~3L。強酸性の胃酸や消化酵素などが含まれる)が分泌され、肉や魚などのタンパク質は低分子のペプチド(少数のアミノ酸が連結したもの)に分解されます。

これらの分解作用によって、食物は、体内においてほとんど異物として反応しなくなります。さらに、十二指腸や小腸上部、膵臓からの分解酵素によって、ペプチドはアミノ酸にまで分解されます。

この状態にまでなれば、血液中に吸収されても、安全な栄養素として自分の体つくりに使えるのです。

一方ご飯やパンに含まれるデンプンは、タンパク質の100倍以上の大きな分子からなりますが、胃ではほとんど分解されません。唾液や膵臓から分泌されるデンプン分解酵素であるアミラーゼで分解されて小さな分子のブドウ糖となり、小腸から血液中に吸収されます。

このように、食物を食べるという行為、さらには胃や腸での消化作用が、「有害な食物」を「有益な栄誉源」に変身させ、人間の免疫機能を守る重要なプロセスであるということをおわかりいただけたと思います。

あなたはよく噛んでいますか?「あまりに美味しかったから」とか「忙しいから」「時間に遅れそう」などの“いつもの癖”であまり噛まずに食べてしまってはいませんか?

ダンプカーから砂利やゴミを落とすかのように、食物を噛まないで胃に流し込んでいませんか?

よく噛まないで飲み込まれた食物は、当然のことながら消化するのに時間がかかります。すると、強い酸性作用を持つ胃液は食物を分解しいている間中、自分自身の胃壁にも負担をかけます。これが、胃弱や胃腸炎などの消化器疾患を引き起こす誘因となり、胃腸の働きを弱めてしまいます。よく噛むことは、食物を効果的に消化すると同時に、自分の“胃を守る”有効な方法なのです。

当たり前だけど、なかなか難しい事かもしれません。

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