硬い歯と柔らかい歯。
私の認識では神経の存在する健全な歯は丈夫で、治療により神経の処置をされている(いわゆる神経を抜いた歯)では、明らかに神経の処置をした歯がもろくて割れやすいです。
そのため、歯根破折という症状(普通に生活していて歯が力で破折してしまう状況)は、神経の無い歯で起こる症状だと思っていました。
しかし、歯科医師を長いことやっていると、大半は自分の知識の通り神経を処置した歯が割れてくるのですが、全体の1割くらいは健全歯(神経が残っている健康な歯)が割れてくる事があるのです。
勿論、咬合力(噛む力)が強いというのもあるのですが、基本的には割れないものなのです。。
とある患者さんの事なのですが、堅いおせんべいをかじったところ、歯が割れて来てしまったということ。しかもその割れた歯には神経があったのです。通常では割れないはずの健全な歯でです。
で、処置はどうしたかといえば、破折のために神経が感染してしまったので神経の処置を行いました。
神経の処置を行った歯は、神経が存在しなくなるので、非常に乾燥し構造的にもろくなっているのでかぶせ物を行うのです(いわゆる銀歯というやつ)。その時に歯を削ったのですが、かなり柔らかい歯でした。
何万本と歯を削っているのですが、歯のエナメル質や象牙質の堅さは確実に個人差があります。
逆に新品の歯を削るダイヤモンドバーを使っても削れにくい堅い歯も少数ですが存在します。
そのため、今回のケースは柔らかい歯質なのに、咬合力(噛む力)が強かったという不幸なケースといわざろう得ません。
長く歯科医師をしているといろいろな体験をするものです。
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