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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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2023年2月24日 (金)

矯正治療に骨切りは必要か?

非常に痛ましい医療事故がありました。

以下、「毎日新聞 2月28日」からの記事です

愛媛県立中央病院(松山市春日町)は17日、かみ合わせを矯正するための下顎(したあご)の手術を受けた愛媛県の10代女性が医療事故で死亡したと発表した。同院は救急医との連絡体制に問題があった可能性があるとして改善策を示した。

同院によると手術は2022年2月で、遺族との示談成立に合わせて公表した。手術自体に問題はなかったが2日後の未明以降に女性から強い吐き気や口腔(こうくう)内などの腫れによる呼吸困難の訴えがあった。看護師が当番医師に電話で連絡し、医師は経過観察を指示。救急医に連絡する仕組みはなく、約1時間後に急変して呼吸が停止した。救命措置を施し、救急医の到着後に人工呼吸器を付けて治療を続けたが、手術から20日後に上気道閉塞(へいそく)による低酸素脳症で死亡した。  同院は院内の専門部会を開き調査。女性の急変は一般的な経過ではなかったものの、早い段階で院内の救急医らが対処できていれば救命できた可能性があったとした。再発防止のため、急変前の前兆を救急医に連絡しやすくする院内迅速対応システム(RRS)を同年10月から導入した。菅政治院長は「患者を救命できず、信頼を裏切った」として陳謝した。【斉藤朋恵】

《 骨切りが必要な条件とは 》

人間の骨格はざっくり言えば3種類に分離されます。

まず正常な噛み合わせといわれるⅠ級咬合。下顎骨よりも上顎骨が前方へ過成長しているⅡ級咬合(いわゆる出っ歯というやつ)。上顎骨よりも下顎骨が前方へ過成長しているⅢ級咬合(いわゆる、しゃくれ)というもの。

この問題の矯正の骨切りという手術はⅢ級咬合の過成長した下顎を骨を切る事で短縮させ上顎骨と咬合させるというものです。

この骨切り術というものを私は否定するつもりは無いです。かなりの過成長した下顎骨は骨切りが必要な場合もあります。

ただ私の患者さんからの相談で「他院の矯正の先生は骨切りを行わないと治せない」といわれた方で、骨切りが必要と思った症例は一つもありませんでした。どれも骨切りを行わなくても普通の矯正治療で治す事が出来ました。

本当に骨切りが必要な患者さんというのは、実は数%に過ぎないのではというのが私の感想です。

それから矯正の治療で小臼歯を抜歯するパターンが非常に多いのですが、小臼歯を抜歯してしまうと、矯正の治療期間が延長してしまうという悪い結果がでやすいと考えます。

こんな事を書くと、矯正専門医の先生に叱られてしまうのですが、矯正治療に外科処置(抜歯や骨切り)は必要なのか?という疑問ですが、答えはYESです。

私の場合、下顎の骨切りも行わないし、小臼歯の抜歯もしないけど親知らずの抜歯は必要と思います。

矯正治療が終了したばかりで、顎関節症の治療に為に来院した患者さんの口腔内は決まって「小臼歯が抜歯済みで親知らずがある」というパターンです。

今回、不幸にして骨切りの手術をして亡くなってしまった患者さんは非常に可哀想でなりません。美しくなるために必死に頑張った手術で命を落としてしまうなんて。

経験者に聞いてみると、この骨切りという手術は術後に呼吸困難で非常に辛いものらしいですね。

亡くなった方のご冥福をお祈りいたします。

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