奥が深い親知らず抜歯。
ほぼ毎日のように親知らず抜歯の手術があります。
埋伏抜歯といって「骨の中に埋まっている親知らず」を抜歯する事が多いです。
骨に埋伏している親知らずの抜歯にはCT(断層撮影X線)が必須です。
神経の位置と親知らずの位置関係を確認しながら歯肉の切開のデザインと骨除去の部位を確認しながら行います。
CTの画像診断をしっかり行えば、手術時間がかなり短縮出来ます。
親知らずが埋まっているであろう部位に切開とピエゾ(骨を除去するための超音波切削器具)を用いて親知らずを露呈していきます。
親知らずが肉眼で確認出来るくらいまで切開出来れば後は、親知らずの萌出方向と角度を頭にいれて、ドリルで切断後、ヘーベルという機材で親知らずを引き抜くだけです。
先日の事ですが、親知らずの抜歯に大変手こずってしまったのです。
親知らずの抜歯は、脳内シミュレーションが非常に大切です。親知らずの歯冠がこの位置に見えるから歯根はこっちの方向へ伸びている、みたいなシミュレーションを行いヘーベルで抜歯を行うのですが、その手こずった親知らずは歯冠の形が奇形で歯根の方向がまったく予想出来なかったのです。
CTで方向を確認しているはずなのに、そちらの方向へ歯根がないのです。
そのため抜歯のために力を入れても、入れる方向が違うのかびくともしません。
結局、予定よりも大幅に骨を除去し、親知らずの全体像を見えるようにして抜歯しました。
歯冠が奇形だったので、自分が咬合面(いわゆる歯の食べ物を噛む面)と思っていた部位が咬合面ではなかったのです。
またこんなこともありました。
親知らずの抜歯の90%以上が終了しかけていて、本来なら抜けてきてもおかしくない状況なのに抜けてこない。
そこで、歯冠の右に力をかけていたのを、左側に少しかけた時に、「スルっ」と抜けてきたのです。
今まで沢山の親知らずを抜歯してきましたが、まだまだ知らないこと、勉強になることがあります。
どんな仕事でもそうだと思いますが、私の抜歯の技術もまだまだ伸びしろがありそうです。
(写真は10代の上顎埋伏親知らず。歯根未完成歯)
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